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第五十一話

全速力で鎌倉街道を上る。

菅原神社がどうなっているのか。成良親王と足利直義がどうなっているかを知りたくて。

俺は騎馬で街道を駆け抜けた。


そして菅原神社に至る。

穏やかだった元の姿はもうそこにはない。

すでに戦場と化していた。


「成良親王」

将軍である成良親王は陣の後方で待ち構えていた。

「新田義興か」

俺が声をかけると反応して合図をくれる。どうやら近づいてこい、という意味だった。


「やっと戻ってきてくれたか」

「はい使者が緊急だと申していたので」


「言いたくはなかったんだがの」

「ここはもうおしまいだ」

菅原神社の前線では多くの兵士がまだ戦っている。


「まだ諦めるには早いです」

「そうじゃないんだ」


成良親王は憔悴した様子で首を横に振った。

「足利直義が鎌倉に逃げてしまった」

「あやつは京に戻って足利高氏の応援を呼ぶつもりらしい」


どうやら足利直義は成良親王と反目したらしい。

「あやつは一緒に鎌倉に撤退すべきだと主張したが私が反対したのだ」

「鎌倉を戦乱に戻してはならないからの」


すでに滅亡したとはいえ仮にも幕府があった特別な場所だ。

成良親王も俺たちと同じ思いだということだ。


「だから今こうして戦っているが新田軍が来なければここももうじき終わりだ」

「だったら応援を呼べばいいんです」


今から使者を送ればすぐに新田義貞がやって来るだろう。

だって向こうは快調だったのだから。


「間に合いそうか」

「はい、その間にも俺が足止めしておきます」


「皆のもの、新田義興がここに来たぞ」

俺は鞘から刀を引き抜いて戦場の兵士達を鼓舞する。

「伝説の刀の鬼丸もここにある」

その言葉に兵士達は勇気付けられたのか安堵の声が漏れる。

「これで負けないはずだ」

「新田が戻ってきた。これでひと安心だ」


「いくぞ」

合図を送ると大勢の兵士達が俺に続いた。

弓矢を扱う連中は集中して鎧の隙間の急所を狙う。

太刀使いはうまく立ち回って敵の攻撃をかわしては鋭い突きをおくる。


「新田義興のお陰でここもどうにかなりそうだわい」

「いえ皆が持っていた力を発揮しただけです」


「それより補給はどうなっていますか」

水分は崖下の池から補給するとして食料や武器はどうなっているのか。

「消耗戦じゃの」

見れば後方で待機している兵士達も前線に駆り出されている。

これでは補給もなにもあったものではない。


そして軍の陣形はv字形の鶴翼で将軍である成良親王は中央の後部にいる。

これで減った軍勢を多く見せるようにしているのだろう。

だがそのせいで両端の兵士が集中的に狙われてしまっている。


これは作戦を少し変えた方が良さそうだ。


ということで今まで鶴翼だった陣形を鋒矢の形に変更させる。

これは魚鱗よりも攻撃に特化させた陣形である。

いわゆる矢印の形に軍隊を形作るものである。


関ヶ原の戦いでは島津藩が退却時にこれを利用して退却に成功していた、という俺の知識も踏まえてだけど。


これで防戦一方だった成良親王軍が正面突破を成功させた。


あとは新田軍の応援を待つのみだった。

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