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第三十五話 苦境

敵の数が多すぎる。俺は戦略撤回を新田義貞に進言した。

「これって敵の人数が尋常じゃないですよね」


まさしくその通り。序盤で体力を使い果たした新田軍は更なる追撃でやられそうになっている。

主に弓矢が専門みたいだけど。


それでも状況が厳しいのには変わらない。食糧は上野国から輸送しないと行けないし、夜中になると真っ暗でなにも見えなくなる。夜襲にでもあったら大変だ。


俺たちはなるべく身軽に行動しているが幕府軍が立ちはだかる鎌倉街道は平坦ではあるがなかなか進まない。

その上敵がちょくちょく顔を出してきて戦いにも一手間だ。


「某九郎丸と申す」

「戦いますか」


敵方の幕府軍は余裕綽々で勝負に参加する。


俺と敵も全力を尽くして剣を交える。相手はなかなかの強敵だ。俺の低レベルとは比べ物にならないほどに。


「幕府を裏切った逆賊にしては結構やるな」

「まず裏切ったつもりはなくて」


ふんとはなをならす敵。

「だがお前は今新田軍にいる」

「つまり俺たちの敵だ」


男は刀の柄にてをかけて俺をじわりじわりと追い詰めていく。

「待ってください。これには訳が」

「そんなこと聞いている暇はない」


悠長に構えていたわけではなく相手は俺の様子を探っていたらしい。


敵の刃が容赦なく俺に襲いかかってくる。

それを一つ一つ交わしては反撃の機会を狙う。


だがそれに対しての対抗策はいまだに練られてなくて。

俺たちは防戦一方になっている。


「九郎丸!」

とその瞬間。新田義興が怪我のみで剣を一刺しした。


「くそっ。まだ生きてやがったのか」

「生憎悪運だけは強いようだからな」


ふっと笑う姿はいつもの新田義興で俺は胸を撫で下ろした。

「次で止めを指すぞ」

腹部に血を流しながらよろよろと歩く姿は見ていて苦しくなるが、彼のお陰で命を取り戻した。


新田義貞も大声をあげて皆を鼓舞している。

「ここで勝てればうまい飯を食わせてやるぞ」

「おおっうまい飯が食いてえ」

「できたらお肉も一緒に」


味方の男たちも互いを励まし合う。

「大丈夫だ、助けは必ずくる!」

「そうだ!三浦一族の力を借りることができたなら我々の勝利の兆しが見えてくるだろう」


最後に新田義興が肩で息をしているところが見えた。

早く彼の手当てをできる場所を探さないと。


争いは混乱を極めているのであった。

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