第三十話 合戦再開2
「我こそは新田義興と申す。総大将新田義貞の次男である」
「俺は九郎丸と申す。訳あって新田義貞の下についている」
名乗りをあげると同時に俺と新田義興は太刀を片手に騎馬に乗りながら敵を蹴散らしていった。
敵は想像以上に強かった。今までの運やまぐれに頼った戦ではすぐに負けてしまう。
それもそのはず。幕府軍の人数もそれなりにある上、前回休憩したからね。
体力バカの新田義貞もそれはすこし懸念していた。
対する幕府軍は矢を飛ばしながらこちらの隙をうかがっている。
相手が盾を持っているせいでなかなか攻撃が当たらないが気合いで何とかする。
「うりゃあああああ」
味方の軍も矢で応戦してくれるがなかなか距離があるせいか当たりづらい。
つまりこの戦は俺たちの双肩にかかっているのだ。
「なんだあの山伏の群れは」
「しかも九郎丸というやから太刀が非常に強いじゃないか」
幕府方も驚きつつも応戦している。
ちなみに俺たちが戦っている間にも足利義詮の軍や山伏や異形のものたちが協力してくれているのだ。
誠にありがたい限りだ。
それぞれ作戦を伝令から戦況が伝わり、なかなかシビアな戦いだとわかる。
戦は一進一退。総大将の首を取るまでにはいかないが次々に司令官たちを打ち破っていく。
こちらも同様にダメージを受けてはいるがなんとか持ちこたえている。
総大将の新田義貞には渋い顔をさせてしまっているが、これでも勝つつもりでいる。
もし鎌倉幕府を滅ぼすならばこの地点で負けるわけにはいかないのだ。
小手指原というゆるやかな傾斜のついた土地は戦には持ってこいだ。
そして久米川には鎌倉街道がある。ここは交通の要地となっている。
つまり久米川を押さえれば鎌倉までいく道を確保できるということだ。
と気を抜いているところだった。背後から敵が襲いかかってくる。
「危ないぞ」
新田義興が大太刀で相手をなぎ払ってくれる。
「なにをぼんやりしていたんだ。ここは戦場だ。すこし気が緩んだだけで命をとられる場所だぞ」
「ありがとうございます」
「礼には及ばぬ。ただ気を引き締めておけ」
やはり新田義興は強い男だった。新田義貞が軍事を彼に任せておく理由がわかった気がした。




