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第二十八話

この話はフィクションです。実際の史実とことなる描写があります。

「それで明日はどうするつもりですか」

日も過ぎてすっかり辺りは暗くなっていた。俺は新田義貞に話しかける。

「どうするもなにも今日と同じようにやればよい」


ちょっと待ってくれ。それをやったら今回と同じ結果になるんですけど。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか新田義貞の酒が進む。


「しかし本日は思いの外上手くいったな」

主に俺に対する無茶ぶりと本人のやる気のお陰であるがいささか将来が心もとない。

というか脳みそ筋肉でできてるのってくらい新田義貞なにも考えていないよね。


「さすがに戦略はもう少し練った方がよいのでは」

おれが進言すると数分間思い詰めた表情で彼は返した。


「おまえは義興のそばで控えるのがよかろう」

義興よしおきとは新田義貞の次男である。血の繋がりがあるし、なにより頭が切れる。彼がいれば百人力だ。


「お前を養子にして見たが案外上手くいくものだの」

新田義貞は豪快に笑う。たぶん戦術とかそういうものを俺に任せるつもりなのだろう。そして次男の新田義興にったよしおきにフォローを入れさせる予定なのだろう。


「さて酒じゃ」

夜のとばりに男たちが酒を酌み交わす。翌日の戦など忘れて。日々の鬱屈を振り払うように。

「蘭陵の美酒 うこんの香り

 玉碗盛り来る琥珀の光 

 ただ主人をして

 よく客を酔わしむれば

 知らずいずれのところか

 これ他卿」

李白の客中行を口ずさみながら新田義興は杯に酒を注ぐ。


「俺はあなたのお世話になりますが何卒よろしくお願い致します」

「いいのだ」


年代が近いからか結構親しみのわく交流だった。

明日から再び幕府との戦いが始まる。


それまでに対策を練っておかなければならない。

それこそ今日と同じでは勝てる見込みはない。


ということは作戦変更である。


山伏や天狗の力を借りて相手の勢いを押さえるとともに

俺たち武士たちも全力で幕府軍を追いやらなければならない。


ということは弓矢での攻撃はもちろん

陣形の変化も加える。今まで相手がV地型の鶴翼だったのをいいことに三角形の魚鱗で対抗していたが、将軍が全面に出てくるのは敗北の危険もある。


ということで新田義貞には後方で待機してもらうことにして

前方では新田義興とおれが戦うことになる。


こうしてつかの間の休息は一晩で終わってしまったのであった。

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