第二十五話 戦いその二
新田義貞は相手側の陣に駆け入ると得意の太刀を振り回して敵を蹴散らしていた。
「皆のもの容赦はするな」
彼の掛け声とともに男たちの士気があがる。
彼らはすでに敵陣へと進み、近くに居る武将との一騎討ちを行っていた。
「われこそは」
一人の男が名乗りをあげて剣を引き抜く。
「覚悟せい」
わずかずつだが新田軍の優勢となっていった。
「九郎丸は先に進まないのか」
「それが弓矢が最後の一本を使ってしまったので」
「それならば新田義貞さまと一緒に戦わねば」
そして弓矢が尽きた俺はというと執事の船田に促されて馬にまたがったまま太刀を振り回すことに。
こちとら素人なのだから多少甘えさせてもらえないのだろうかと期待するが身内ゆえかやや厳しい。
「行くぞ」
俺は新田義貞が用意してくれたポニーちゃんにしがみつきながら先に進む。腰には立派な太刀を携えて見映えはいいが俺は実践経験なんてさっきぶりだよ。
「皆のもの引き下がるでない」
どうやら優勢かと思っていた戦だったが少しずつ陣が乱れ新田軍も疲れが現れてくる。
ここは俺の出番だ。
「某九郎丸と申す、一騎討ちを願い出る」
総大将の新田義貞がやられたら我が軍は崩壊する。その前に俺が対策を練らなければと思うと気がつけば口から恐ろしい言葉が出ていた。
俺って今自分から仕事増やしたよね。やっちまった。
だが背に腹は代えられない。
「だれかいないか」
原のそこから声をだすと、そこそこ強そうな武将が表に出てきた。
「まだ元服もしていないのか。そのようなやからに負けるはずがないだろう」
俺たちは馬にまたがったまま戦いを始める。
「行くぞ」
それにしても相手方はなかなか強い。
俺が太刀を振りかざしてもうまく避けられてしまうし、逆に俺を狙う太刀筋には迷いがない。
「弓矢の次は太刀かよおおおおお」
俺は絶叫しつつも若干重い剣をブンブン振り回す。
大体俺はただのニートなんだって。スプーンより重いものは持てないんだよ。
なんて銀の匙をくわえて生まれてきたわけでもない俺には過酷な戦いだ。
「口のわりに実力が伴わないな」
敵は余裕な姿で俺を次第に追い詰めていく。
まずい。このままじゃやられる。
そう悟った俺は新たな作戦に。
相棒のポニーちゃんと一緒に敵方の方へと猛接近する。
「行けえええええ」
そして相手が油断している隙に敵を馬から突き落とす。
「ぐっ」
相手は低い呻き声をあげて顔をしかめた。どうやら怪我の加減は思ったよりもひどくないらしい。それはひと安心。落馬って本当に危険だからね。
「私の敗けだ」
敵は渋々と敗北を認めた。
つまりこれって。俺の勝利ってことだよね?
こうして今回も命からがら生き残れたのであった。




