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第二十四話 戦い


新田義貞が敵方に一泡ふかすといっていた。

その言葉通り俺は戦に積極的に参加することになった。


一泡ふかす、いったいどういう意味だろう。

ぼんやりと周囲を見渡すと俺たちの軍は足軽たちが矢盾を並べて

その後方から馬に乗ったお侍さんたちが弓矢を引いていた。


そこで我らが総代表新田義貞が騎馬のまま相手軍に突入する。

「われこそは新田小太郎義貞と申す」

名乗りをあげて大太刀を構えて先へと進む。


「皆のものかかれ」

それと同時に武士たちは騎馬のまま弓矢を幕府軍に向ける。

多くが新田義貞にならい敵軍へと駆け出す。


男達の怒号が響き渡るなか相手の矢盾は次々に破壊されていく。

そして指揮を執っていた司令官たちにも同様に矢の嵐が降り注ぐ。


「さて九郎丸どうしたのだ」

馬にまたがっていた俺に新田義貞の執事船田に声をかけられる。


「少々お待ちいただけますか」

やはりというか当然と言うか。新田義貞の懐刀として重宝されている俺がぼんやり眺めているわけにはいかない。俺の装備は彼からいただいた大鎧と弓矢、太刀だった。


「俺はここで弓矢を」


大鎧は予想を遥かに越えた重さだったし、本来なら他に軽量化された甲冑もあったが新田義貞の老婆心で立派なものをいただいてしまった。ニートの俺には太刀はちょっと荷が重い。


つまり俺がすることはひとつ。

「おんどりゃあああああ」

比較的安全な場所で矢を放つ。ちなみに練習は付き合いで多少した程度、まったく敵に当たらない。

下手な鉄砲数打ちゃ当たる戦法だ。

立ち居振舞いも武器の使い方もめちゃくちゃだがこの際気にしている暇はない。


このまま負けてしまったら俺の命は危うい。俺だけでなくて反幕勢力が負けたことにより風当たりが強くなるだろう。そのためにも負けるわけにはいかない。


「行けえええええ」

何度も何度も矢を放つが的にはまったく当たらない。

下手だ。余りにも下手すぎる。


このままだと俺は無駄に武器を消耗することになる。

つまり今の俺にできることを探すと。

一本一本の弓矢に集中して敵の将軍を射ることだ。

「今度も行けえええええ」


相手側の矢盾をよけつつ部隊を率いる長の方に狙いを定める。

相手に当たるには当たったがちょうど甲冑の部分だった。


「次こそは」


そうやって一本ずつ残りが減っていく。

じりじりと武器が減っていく感覚は恐ろしくもあり、焦りを覚える。


新田軍も幕府側に迫る勢いで早くしないと味方にまで攻撃が当たってしまう。


「これで最後だ」

わずかにあった残りの矢もついにはラスト一本になってしまった。


ここで外せば弓の戦法は捨てざるを得ない。

新田義貞は今そばにはいない。だからこそ自分で選ぶべきなのだ。


「行くぞ」

一度息を整えてから弓矢の照準を敵の隊長一人に向ける。

絶対にはずせない。


そして。冷静に相手に目を向けて矢を放つと。


隊長一人が矢を受けて倒れた。

付近の敵陣が乱れ始める。司令官を失った足軽たちは混乱を極めていた。


これが戦が。震えが止まらなかった。

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