第二十三話 仲間
俺たちは小手指原、今で言うところの所沢に進軍した。
辺りは緩やかな傾斜のついた土地である。戦をするにはもってこいの場所だ。
俺たちは北野のそばに陣を構えた。周囲には古墳もあり歴史を感じさせる雰囲気が漂っている。
源氏を代表する白旗を掲げて戦の様子を見守る。
ちなみに近くには北野天神があり、菅原道真を奉る由緒正しい神社だ。彼の子孫が誘致して源義家や源頼朝などが社殿を造営したそうな。
「どうだ九郎丸」
「相手は久米川の方に陣を構えているようです」
新田義貞が声をかけてくる。
「しかし今回ばかりは助かりました」
「なにがだ」
新田義貞は首をかしげる。どうやら照れ臭いようだ。
「騎馬のことですよ」
当初は百五十騎しかいなかった味方が、彼のおかげで総勢二十万七千余騎までに増えたのだ。
「しかも足利尊氏の息子の義詮までついてきてくれるのだって」
新田義貞の人望はなかなかだった。
「ひとえにあなたのお陰ですよ」
しかも今回はそれだけではない。山伏たちや異形のものまで力を貸してくれるのだ。
「お前も時々素直なことを言うな」
新田義貞は豪快に笑う。
「そろそろ戦だな」
「はい」
二人の間に訪れる沈黙。俺たちはここまで来た道のりに思いを馳せ、これから起こるであろう戦に自分の身を省みるのであった。
「お前には世話になったな」
「俺も世話になりました」
だが感慨に更ける時間などわずかしかなく。戦が始まる。
「行くぞ」
男たちの怒号と共に皆が走り出す。
彼らは皆俺たちに忠誠を誓ってくれた仲間たちだ。
「進め、朝敵の幕府軍に負けるな」
「裏切り者の新田義貞を成敗してやろう」
最初は秩序のあった陣も戦況と共に変化していく。
「政治を腐敗させる幕府の北条達を打ち負かせ!」
「決して裏切り者どもに負けるでない!」
幕府との騎馬戦はなかなか決着がつかない。
「先に進むのだっ」
「ここからは絶対に守り抜けっ」
混乱する戦場で辺りは乱れていく。
「どうしますが、俺たちは」
「そろそろ出番だな」
ことの顛末を固唾を呑んで傍観していた司令官の俺と新田義貞は顔を見合わせる。
「では行きますか」
「あいつらに一泡ふかせてやろうじゃないか」




