第十四話 倒幕派
地名を間違って表記していました。正確には二俣尾です。修正すみません!
播磨の国の赤松氏が反旗を翻し、今日の六波羅まで押し迫ってきていた。
俺たちはもはや商売どころではなく、ことの行く末を固唾をのんで見守っていた。
四国からも反幕府勢力の土居、得能が長門探題の北条時直を破り、戦は順調に進む。
また隠岐では幕府の監視役の佐々木義綱が女官を通じて後醍醐天皇に脱出を進言した。ついでに味方を呼ぶことも命じられてたんだけど逆に塩治高貞に幽閉されちゃったんだって。塩治高貞といえばその奥さんに高師直が横恋慕して兼好法師に恋文を代筆させたのが有名な話だよね。
隠岐の判官佐々木清高の追跡から逃れるために名和長年を味方につけ、船上山では幕府方の佐々木昌綱が流れ矢に当たって死に、判官は敗走した。
対する俺たちはというと執事の船田の進言で大塔宮の綸旨を頂いた新田義貞は大喜びで上野国に戻ることになった。こいつしかも勝手に仮病使う辺り気合い入ってるよな。
俺も彼のお供として一緒についていく。長い旅路かと思ったが今度は馬が使えたので予想より早く着くことになった。ありがとう!近江の馬借さん達。あと馬達も。
そして倒幕の準備に差し掛かるのであった。
俺自信はというと相変わらず新田義貞の雑務を引き受けたり、書面のチェックだったりをしつつ。
ついでに手頃な商売をすることに決めた。
それは廃れつつあった養豚の再興である。
日本書紀によれば600年代までに渡来人によってもたらされた養豚。
まあ縄文時代にも猪飼っていたなんて話も聞いたけど。
しかし仏教の教えにより廃れつつあった。
ということでまずはその辺にいる猪を捕獲。
そして柵で囲った緑地に放し飼いにする。餌はドングリがいいのかな。
この辺りは完全にロビンソン・クルーソーの真似だけど。
あいつの場合は山羊だったなあ。前の世界で夢中になって読んだよ。
それよりも、なにより稗と粟だけじゃ栄養は足りん!
というか口寂しいよね。
しかもこの時代、兵農分離なんて言葉はなく、戦に出るのは農民も兼ねた連中だ。
なるべくなら美味しくて栄養のあるものを食べてほしいよね。
そうそうちょっと前に俺宛の文が届いたよ。弥次郎さん一家からだった。
遠く離れた弥次郎さんも元気にしているらしく、
桃のゼリーの原料の仕入れ先とも上手くやっているようだ。
桃は二俣尾という桃の名所から仕入れているらしい。
噂によれば桃源郷のようなところらしい。一度は行ってみたいよね。
と後半話はそれてしまったが
俺たちはそれなりに上手くいっていた。
倒幕の二文字が現実味を帯びてくるのはもう少しあとのことだった。
連日更新そろそろ私生活があれなのとネタがつきてきたので今より間が空くようになると思います。申し訳ありません。