表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

結婚、するんだって。

作者: 杜若もゅ

私の従兄はもうすぐ結婚する。

相手は少し年上のしっかりしたお姉さん。

私とは10も違う従兄から彼女の話なんて、1度も聞いたことがなかった。


記憶に覚えている限り、従兄との付き合いはとても長い。

彼が就職して、私が進学して...

年の差なんて埋める必要もなくて、私はお兄ちゃんへの淡い気持ちを隠し続けた。

それはもちろん恋愛的にとかじゃなくて、私にとっての身近なアイドル。

今思えば、従兄から見たら私はただの親戚の女の子Aに過ぎなかったかもしれない。

でもある日私の前に可愛らしい女の人を連れてきた。

私なんかよりもずっと背が低くて、髪が短くて少しお化粧の濃いお姉さんだった。

大学時代からの知り合いで、とても楽しそうな2人。

大人気ないかもしれないけど、その彼女が羨ましくて憎くて辛かった。

まだその時は結婚を前提に付き合ってる人がいるとしか聞いたことがなかったから。

だから余計に現実を突き詰められたみたいで嫌だった。

まだまだ子供の私には結婚がよく分からないけれど、今まで従兄と会う時はずっと私の相手だけをしてくれたのにもうそんな優しい彼はどこにもいない。

そう思うと自然と心の中の何かが溢れ出してきて、それさえも抑え込む余裕はその時にはまだあった。


それからまた少し経った後の従兄からの電話。

そろそろ結納を済ませて籍を入れるつもりなんだ。

たった一言のその声。

彼女のことを嬉しそうに話すその声だった。

私にとってはどこか懐かしくて愛おしい声。

馬鹿げているかもしれない。

親戚のお兄ちゃんが結婚するぐらいでこんなに嫉妬をするなんて。

だけど私にとっては替えのきかないたった1人の理解者。

もっと大人になって。

そう自分に言い聞かせた。

それでもやっぱり涙が溢れて止まらなくて、声を殺して泣いた。


まだ結婚式は先だけれど、私はもう彼を見ないことにした。

きっとこれからも彼は変わらず私の話を聞いてくれるだろう。

でも私のわがままを1つ聞いて欲しい。

もう私はお兄ちゃんを求めないし、お兄ちゃんも私に関わらないで。

今まで話は聞いてもらってたけど、私から彼に望んだことはなかった。


最初で最後のお願い、聞いてくれるよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ