表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第一章:日常の終わり
3/89

新たな自分-3

 一之瀬乃亜先輩。

 その男勝りなサバサバした親しみやすい性格と、そこからは考えられないくらい気遣いの出来る人で、後輩からの人気は高い。


 しかし、どういう訳か色恋沙汰の話はまったく聞かないんだよな。

 見た目美人で可愛い系も併せ持つ、素材は良い人なんだが。


 ちなみに、あくまでこれは客観的視点であり、俺からするとお節介な幼馴染みという印象が強い。

 いやまぁ、モテないってのは分からないけどな。絶対、人気ないはずないんだから。


「残念ながら、俺に考えなんてないぞ?」

「はいはい、ボクに嘘は吐かないの。あんなの見て、湊が何もしようとしないわけないでしょ?」

「そん……いや、その通りだけどさ」

 この人に隠し事は無理だとは思ったが、そうあっさり見破られるのは何か尺だな。


「でも、そんな大層なもんじゃねぇぞ?」

「いいっていいって。どうせ、それでなんとかしちゃうんだからさ」

 酷い言われようだが、これは褒められているんだろう多分。そう言う事にしとこう、うん。


 だが、実際に謙遜なんかじゃなく微妙なラインなのは確かだ。

 宛があるというよりは、数撃てば当たるだろうというただの物量作戦だしな。


「それで、俺のところに来たってことは……」

「もちろん、ボクの分も何とかしてくれると思ってね」

 これである。


 乃亜先輩が頼み事をしてくる時は、基本厄介というか面倒くさい事が多い。

 今回なんて、メーカーが分からなければ販売台数や販売店等、何も情報がない中で手に入るかも分からない物をもう一つ集めるのは、至難の業だろう。

 だが、断るかと言われたらそれはノーだ。


「ねぇ……駄目かな?」

 グハッ!

「べ、別に、一台も二台もそんな変わらないし、大丈夫だけどさ」

「そっか、さすが湊だね」

 ーーー!!


 そう、この上目遣いと笑顔の破壊力。これで、断るという方が無理だ。

 毎度の事だが、こうされると選択肢なんてなくなる。

 どれだけ面倒くさかろうが、理不尽だろうが、メリットが無かろうが、そんなことは些細な事に過ぎなくなる。

 何より大事なのが、あの笑顔になるのだから。


 告白された事なんかない(本人談)とか、絶対に信じられない。

 最も、昔から結構一緒にいるが、男の影は感じた事すら無いんだけどさ。


 あ、あと、この話題に関してというか、俺に関しては最初から拒否権は存在しない。

 上目遣い→笑顔のコンボもだが、それ以上に断るといろいろヤバいのだ。

 何と言うか、昔の事を掘り出して、社会的に抹殺される。


 もちろん、最初から断るつもりなんか無いし、こうなるから会いたくはなかったんだがもう遅いか……。


 「それで?具体的にはどうするつもりなの?」

 「あ、あぁ。とりあえず、先立つ物を集めないとな」

 「ボク、そんなに持ってないよ?」

 「今は、お金よりも情報が一番だ」


 そう、こういった事態の場合、一番役立つのは新鮮で確実な情報だ。

 そして、それを手に入れられる場所と言えばあそこしかないよな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ