中学生の私、いじめ
この物語はフィクションです。ご理解ご協力、宜しくお願いいたします。
この物語のいじめに関することなどで、不快な思いをなさる方もいるかもしれません。その場合は、よむことをお勧めしません。
いじめで自殺をする、なんていうニュースも最近は多く見かけられます。
自分は本当に何もしていないのか、何もしていないからいいのか。
いろいろ、考えていただければ幸いです。
ちなみに、今現在、昔、そういう行為の標的になった方もいる、また、いたと思います。……そのいじめも、もしかしたらこの物語のような、些細なことがきっかけになっている場合もある、そのことも理解してお読み下さい。
(主人公:糯弥 美咲)
7月5日、物語を編集、追加しました。
9月7日、物語を編集、追加しました。
◇◆◇◆◇序章◇◆◇◆◇
「ハイ、皆さん!はじめまして、一年三組を担当する、立花小百合です!一年間よろしくね!!」
立花(一年三組担当の教師)はそういうと、黒板に名前を書きはじめる。
「私の名字は、みんな分かると思うけど!!たー、ちー、ばー、なー……っと、書きます。皆、覚えておいてねー!」
『ハーイ!!』
クラスの皆は、元気よく返事を返す。
そんなクラスの中で一人。皆に、元気な眼差しを向けている人がいた。
「(これから……、どんな一年間になるのかなぁ?……とっても楽しみになってきた!皆と、仲良くなれればいいなー!)」
入学して一ヶ月、美咲にはたくさんの友達が出来た。自分を含めず百人、学年の人達全員と友達になった。
美咲は、毎日友達に囲まれて楽しく過ごしていた。ところが、ある日突然悲劇はおとずれた。
ある日美咲は、友達の白雪の好きな人、星谷葵から、告白された。白雪の好きな人を知らなかった美咲は、初めて告白され舞い上がり、うんと返事をしてしまう。そこをちょうど白雪が通りかかり、刺すような視線で見られていたのだ。
そんなこととは露知らず、帰り際に白雪にその話をしてしまう。美咲にしてみればいきなり怒り出し帰ってしまう白雪に、とぼとぼと帰りながら考える美咲。
やはり分からない、と頭を抱え、夜にも悩んでいたが、睡魔に耐え切れず寝てしまう。
覚悟を決めて、謝ろうと思い学校に行くと―――。
「え、と……、おはよぉ、皆……」
『…………』
教室にいた友達の、子倉紫陽花と星谷茜に挨拶したものの、無視される。
「なんで……無視するの?」
『………………』
「も……もう、いい!」
聞いても無視され、ついに限界に達した美咲は目に涙を浮かべ席に座る美咲。
チャイムが鳴り先生が入ってくる。
「ハイ皆さんおはようございまーす」
『おはようございまーす!!』
「じゃぁ、出欠をとりまーす」
そういって、立花は名簿を手にする。
と、その時。
男子の千葉大樹が、おもむろに手を挙げる。
「せんせー!」
「あら?大樹君、なぁに?」
疑問の顔をして立花が聞くと、ニヤニヤとして白雪を見ながら答える。
「……まだー、糯弥がきてないでぇーすっ!」
その言葉に、すでに泣きそうだった美咲は、歯を食いしばり声を張り上げる。
「わっ……、私……、ここに、いますっ!!」
「……そう、よね?どうしたの、大樹君……」
問う立花に、今度はあざ笑うように答える。
「……あっれぇー、全然気がつかなかったー……お前、影うっすぅっ!はっ、はははっ!!」
「だっ、大樹君!何をいってるの!今すぐ美咲さんに謝りなさい!」
「はいはい、すいませんでしたぁ~!っとぉ……」
大樹の謝りともいえない謝りに、美咲はぐっと唇をかんだ。
そして、立花には聞こえないようにぼそりとつむがれる言葉。
「……影が薄いお前がわりーんだろ?」
それを聞いて―――、美咲は顔中を涙で濡らし、嗚咽を漏らしながら机に顔を伏せた。
立花が騒いでいるのを、まるで他人事のように聞きながら―――。
その日、体調が悪いといって早退した美咲は、先生に心配されながらも家に帰った。
ちょうど、母親も父親も仕事でいなかったため、違う学校に通っている幼馴染の熊谷球磨と空野十六夜に、二人が学校から帰ったら相談があるので、あって話したい。という旨のメールをした。
少したち、返ってきたメールには―――。
【分かった。……大丈夫か、何かあったらすぐ俺に言えよ!!】
という球磨からの返信と。
【わかりました。なにかあったのですね?心配です、場所はどこにしましょうか?】
という十六夜からの返信に―――美咲は、崩れかけていた心が戻っていくのを感じ、そして二人の優しさにうかつにもほろりときてしまい、あわてて涙をぬぐう。
きょろきょろと辺りを見回し、ここが家だと改めて認識し、ぽっと恥ずかしさに顔が赤くなる美咲。
そして。
【ありがとう。場所は、近くの彌山河公園でいいかな。まってるね。】
二人に、返信する。
-・-・-・-・-・-
「…………なんで、だろう……。私……なにか、したかなぁ……。……っ!?」
美咲が顔を下に向けつぶやいていると、肩に衝撃が走る。
「おっそよ~ん!美咲、どうしたんだよ。そんな暗い顔して!」
「そうですよ、そんなに暗い顔なんてしては、美咲さんの折角の可愛い顔が台無しですっ!って……球磨!早くお退きなさい!邪魔です!美咲さんの顔が歪んでいますわ!」
「た、球磨ちゃん……そらっち……」
「んお!?す、すまねー、美咲!……で、美咲。何があった?」
心配そうにそう聞く球磨の目には、心配……そして、恐怖に彩られていた。
「うん……、実は……、私、クラスで無視されたり、いじめられてるの……。私、何も悪いことなんて、してないと思うんだけどっ……」
堰を切って泣き出す美咲に、球磨は、
「ちょっ!?な、泣くなよ……、何か、原因はないのか?」
「知らない間に、何かしてしまったとか……?勿論私は、美咲さんがそんなことをするとは思っていませんけれど!」
二人からも、原因があるのでは?といわれたものの、美咲には全く心当たりがない。
それはそうだろう、美咲は確かに何もしていないのだから。
「私、実は……、昨日、友達と喧嘩したの。白雪って言うんだけど、いきなり怒り出して……、あっ!!」
大声を出し、美咲がひらめいた顔になる。
「そういえば、そのっ……、星谷君って人に、告白されたの。それでつい、うん、って返しちゃって、そのことを白雪に話したら、怒り出しちゃったの。もしかしたら、それかな?」
「それだ!……つか、誰だ星谷っムグムグ」
「それですわね!……静かになさい球磨」
「……白雪ってやつ、その星谷ってのが好きなんじゃねぇの?だから白雪ってやつが、お前に嫌がらせをたくらんでてー……とか?」
「……球磨、たまにはいい事言うじゃありませんか。……まぁいいこと、ではないのですけれど」
うんうん唸る球磨に向かって、よくやったとばかりに頭をなでる十六夜。
「っておい。十六夜、お前も何か考えろよ!!」
「あら、失礼な。美咲さんのためだもの、勿論考えていますよ?」
十六夜と球磨が、美咲のためと話すうちに、段々と申し訳なさがこみ上げてくる。
自分のいじめともとれないような嫌がらせで、この二人の手を煩わせてよいのだろうか。
「ううん……よくない、よね」
美咲はそう呟くと、勢いをつけて立ち上がる。
「ふ……ふたりとも!ありがと、でももういいの。よく考えたら、白雪に謝って、星谷君にごめんなさい、ってすれば良いだけだもの!ごめんね、こんな時間まで。じゃぁ、気をつけて帰ってね!」
そう矢継ぎ早に言って、彌山河公園から出口に少し早歩きで向かう美咲。
「あっ、美咲さん……!」
「美咲っ!!」
心配を感じさせる十六夜と球磨の声に涙を流しそうになるも、精一杯の笑顔で振り向く。
「心配してくれてありがと、でも、もう大丈夫だから!じゃーね、お休みっ!!」
そうして駆け出す美咲に、二人は身震いするようないやな視線を感じ取る。
二人が後ろを振り向くと、
そこには―――顔には憎悪がこもり、まるで美咲を殺してやる、いや、殺すよりもっとひどい目にあわせてやる、そんな表情をした―――――茜がいた。
茜は、携帯を服のポケットから取り出し、白雪にメールを送る。
【公園に行ったら、あいつが白雪に謝って葵のことをフる、っていう話を聞いたの。
信じられない。白雪、どうする?】
「これでいいかな……っと」
二人は、美咲を射殺すような目で見て、その後携帯を見て満足げに帰ろうとしていた茜になにか思うことがあるのか、声をかける。
「あの。少々、お時間をいただきたいのですが」
「……いいか?」
「なに、いきなり」
「あなた、美咲さんとどういう関係なんです?」
「煩いわね!別に良いでしょ、あなたには関係ないんだから」
「関係あります!美咲さんは私の……私の、親友ですから!」
「むぅ?じゃぁ俺は……美咲の恋人、ってことで」
茜は球磨が言ったことに少し考えるそぶりを見せ、球磨がいったことを正しく理解してか、顔を真っ赤にして憤りこの場にいない美咲を詰る。
「なっ……あいつ、恋人がいるくせに葵とも付き合おうとしてたのねっ……!」
うかつな発言をした球磨を叱る十六夜。
「たっ、球磨!余計な発言は、慎みなさい!……ところで、あなたが白雪さんですか?」
「白雪?違うけど……ふ~ん、……あいつ、白雪のこと話したんだ」
「……白雪さんで無いのなら、あなたは?」
「私はー……茜よ。星谷、茜。覚えて……おかないでくれていいわ」
といい残して、茜は家に帰っていく。
いい事を聞いた、とでもいうような顔をして帰っていく茜に、
「……私、余計なこと聞いてしまったのでしょうか…………」
「……俺も、余計なこと言っちまった…………」
二人は、顔を見合わせ―――ベンチに座り込む。
「どうしましょう。私のせいで、美咲さんにもっと危害を加えられたら……」
「俺が、自分に都合のいいように言っちゃったから、美咲に迷惑が……」
二人はすぐにその場を離れ、家へ戻る。
美咲にごめん、とメールをして、ほぼ同じタイミングでふかふかのベッドに倒れこむ二人。
ため息をつき、悩みを打ち明けられないという悩みに悩んで、しかし結局はスヤスヤと寝てしまうのだった。
結構突然終わっていて、なんだこれ?と思う方もいると思いますが、これから続きます。完結してません。人気があれば続編も考えております。(9月7日現在、コメントなど反響を頂きまして、ありがとうございます。見てくださっているとわかり、とても嬉しいです。このまま、少しずつ物語を追加していければ良いなと考えております。(すみません!!))