ポイ捨て王・佐々木 〜最終回〜
佐々木は、沼田に、「家にあるゴミ、全部ポイ捨てしようぜ」と言った。
沼田は、「いいな、それ!ハハッ!」と言った。
そして、二人は公園でポイ捨てをしていたが、おばあちゃんに目撃され
おばあちゃんは「あぁーーーっ!」と言った。
佐々木と沼田は、暗い路地を走っていた。
「ハァ・・・ハァ・・・佐々木!あと、どのくらいだっ!」
佐々木と沼田が逃走を初めてから、もう二時間ほどになる。
「喜べ、沼田っ!・・・ハァッ、ハァッ!・・・あと、ジュースの缶が3つと、コンビニで買ったサラダのゴミだけだっ!!!」
「そうか!さっさと捨てちまって、家に帰ろう!キレイな我が家に・・・!」
「待て、焦るんじゃない・・・!一気に捨てると音でバレちまうっ!一つずつ慎重にだ・・・!」
「そうだな・・・基本的なことを忘れていたぜ・・・すまねえな、佐々木。」
「へへっ、キングと呼ばれた俺をなめてもらっちゃ困るぜ!」
「よし、ここらで良いだろ。さぁ、ポイ捨てろっ!佐々木っ!」
「よし、このコーラの缶を・・・っ!」
佐々木が、全力で缶を投げる。
カカカンッという音が響いた。
「ぃよしっ!!!3バウンッ!!!」
「まだそんな大技が出せるとは・・・!底が知れねぇぜ・・・佐々木!」
「へへっ、ようし、見てろよ沼田ァ!バック回転スピントルネード・・・えぇと・・・シュゥゥゥゥ!」
「ま、待て佐々木!一旦ここを離れたほうが・・・!」
「あぁっ!君、何やってんの!」
「そこの缶は君が捨てたのかい?」
「やべぇっ・・・!おまわりの野郎だ・・・!」
「逃げろ佐々木っ!」
「・・・ん?佐々木?」
「もしかして、今、指名手配中のポイ捨て魔・・・!」
「に、逃がすかっ!」
二人は、残された僅かな力を振り絞り、走りだした。
ただ、沼田は限界が近い。このままでは捕まる。
「ハァッ・・・!・・・ご、ごふぁあああ!!!」
「どうした沼田!!!」
「の、喉がァァァ・・・」
「しっかりしろ!捕まりてぇのか!」
「ジュース・・・ジュース飲みたい・・・」
「なっ・・・!?ジュースだと!?」
「あそこの自販機で・・・頼む、佐々木・・・ヴェェェェ・・・」
「・・・沼田・・・!」
ジュースを買う。そうすることで沼田は走る力を取り戻すだろう。
しかし、ポイ捨てするゴミが1つ増えてしまう・・・!
これは難しい選択だった。
「わかった。沼田。」
「ヴェ・・・?」
「買おう、ジュース・・・!!!」
「えっ、いいの?」
「あぁ・・・だが、まずは身を隠さないと!」
二人は路地を進んでいき、イイ感じの場所に身を隠した。
「しばらくここで待機だ・・・」
「すまねぇ、佐々木。俺のために・・・。お前はいつでも俺を助けてくれるよな。一度はお前を裏切って、学校のゴミ拾いに参加したのに・・・!本当にすまねぇっ・・・!うぅっ・・・」
「あれ、沼田、喉大丈夫なの?」
「ヴェェ・・・」
と、その時、遠くから足音が聞こえた。
おそらく、おまわりの奴らだろう。
頼む・・・!このまま通り過ぎてくれっ!!!
「あっ、居た。」
「あ、ほんとだ。」
「やべぇっ!!!走れ沼田!!!」
「ヴェェェ・・・」
「待ちなさい!」
まずい・・・このままだと、沼田は力尽きて奴らに捕まるだろう・・・
そして、待っているのは・・・お説教・・・!!!地獄だ・・・!!!
そうなると、沼田は今夜、枕を涙で濡らすことになるだろう・・・そんなことにはさせないっ!!!
「沼田ァ!!!ここは俺が食い止める!!!お前はあそこの自販機に行け!」
「で、でも・・・!」
「俺のことは気にするなぁぁ!!!」
「あ、いや俺、お金持ってない・・・」
「チッ・・・!これを使え!」
沼田に向かって100円玉を1枚と、50円玉1枚を投げる。
ポイ捨てで鍛えられたコントロールは伊達じゃないぜっ!
「お、おっと!サンキュー佐々木!!!」
ナイスキャッチだ沼田!
よし・・・俺はなんとしても、おまわりを食い止めねば!!!
「う、うおおおおおおおおお!!!」
「な、なんだね君!」
「ぼ、暴力はいけないよ!」
「うおおおおおおおおおおお!!!」
「うわっ、いたた!」
「い、石はだめだろ、石は!」
「どりゃあああああああああ!!!」
「痛っ!・・・目に入った・・・」
「大丈夫・・・?」
「よしっ!今だ、ジュースを買えっ!」
「わかった・・・!!!・・・100円玉、入った!!!」
「いいぞ!後は、50円玉を入れてボタンを押せぇぇぇ!!!」
「うおおおおお!・・・それっ!」
ちゃりーん
その音は、虚しく響いた・・・
「あ、落とした。」
「沼田ァァァァァァァ!!!!!!」
「こら、君!大人しくしなさい!」
「後でたっぷりとお説教だからね!」
「いぃっ・・・!?お、お説教・・・い、嫌だァっ!!!沼田急げ!!!」
「あ、ごめ・・・佐々木・・・50円玉、自販機の下に入っちゃった・・・」
「沼田ァァァァァァァァ!!!!!!」
くそっ、50円を失うのは惜しいが・・・!
「沼田!新しい50円玉だ!」
「悪いな!佐々木!」
沼田は、すぐにそれを入れて、ジュースを買った。
よし、あとは、飲み終わるまで時間を稼ぐんだ!
「オラァ、来いよおまわりさぁぁぁん!!!」
「あ、ちょっとさ、こっち来てくれる?3丁目の、路地んとこ。うん、急いでね。」
何ィ!?・・・奴め、無線で仲間を呼びやがった!
「急げ沼田!増援が来るぞ!」
「ま、待って・・・ゲフ・・・まだ・・・飲み終わりそうにない・・・」
あ・・・あいつ・・・「コーラ」飲んでる・・・
「バカやろおおおおおおおおおおお!!!なんでだ!なんで炭酸をチョイスしたぁぁぁ!!!」
「ゲフゥ・・・だ、だって、飲みたかったから・・・ゲェェェップ」
「ちくしょうっ・・・!万事休す、か・・・?」
「あ、いたいた」
「あの子が・・・?」
「うん、連続ポイ捨て魔の。」
「意外と早かったね。」
「あぁ、ちょうど近くにいたから。」
「増援が来やがった!もうダメだ!」
「えぇっ!?ゲップ・・・ど、どうしよう!佐々木!」
「流しこめぇぇぇ!!!」
「う、うん・・・ごくっ、ごくっ・・・ゴブフォァァァ!!!きっつい!!!」
「うわっ、汚ねっ」
「さぁ、君たち、観念しなさい!」
「に、逃げるぞ!」
「え、まだ飲み終わってない・・・」
「別にいいだろ・・・!」
二人は、また走りだした。・・・しかし!
「お、お腹いたい」
「沼田!?」
「ダメだ、佐々木。俺はここまでのようだ・・・飲んでからすぐに走ったから、お腹がちゃぽんちゃぽんって・・・うぐぅ」
「飲んだ挙句にそれかよ!あんまりだぜ!200円返せ!」
「それはやだけど・・・最後に、お前が持ってる、オレンジジュースの缶を俺によこすんだ・・・」
「え・・・!?」
「捨ててやるよ。」
「バカッ!そんなことしたら・・・!」
「あぁ、俺はポイ捨てにより、力を使い果たし、動けなくなる。そして、おまわりに捕まるだろう」
「だったら・・・!」
「いいんだっ!」
「沼田・・・!」
「どのみち、この体では逃げ切れない・・・これは、恩返しだ・・・これだけじゃ返しきれないがな」
「くっ・・・頼んだ沼田っ!・・・すまん・・・うぅっ!」
「よし、任せろ・・・逃げ延びろよ!佐々木!」
「うおおおお!沼田あああああ!!!」
「見とけよ、佐々木、俺の最後のポイ捨て・・・!」
「あ、あれはっ・・・!」
「あばよ、佐々木!・・・奥義・音速缶投擊ィィィ!!!」
「「「ぐっはぁぁぁぁぁあああ!!!」」」
「すげぇっ!おまわりを3人吹き飛ばしやがった!」
「こらっ!やっと捕まえたよ!」
「くそっ・・・」
「だめじゃないか!こんなことしたら!」
「うっ・・・ごめ・・・なさい・・・」
「ほら、いくよ。交番に着いたら、お説教だからね!」
「グスッ・・・グスン・・・」
「沼田・・・うぅっ・・・」
沼田・・・お前の事・・・忘れない・・・!
「あ、佐々木君、待ちなさい!」
「君もお説教だ!」
「悲しんでいる暇はないっ!!!」
走るんだ、どこまでも!
沼田の死(?)を無駄にするな!
「あっ」
なんか、変なでっぱりに、つまずいた
「ぐぁああああああああ!?」
いろいろな所をすりむいてしまった!!!
くそっ・・・このままでは傷口にバイキンがァッ!!!
「・・・ここまでか。」
おまわりさんに保護してもらえば、傷の手当をしてもらえるだろう。
ポイ捨て王の称号は剥奪されるが、仕方がない・・・
(佐々木・・・佐々木・・・!)
「な・・・この声・・・ポイ捨て仙人!?」
(どうした佐々木。お前の力はその程度か・・・?)
「でも、師匠・・・体が動きません・・・」
(だらしがないぞ、佐々木!)
「あっ・・・インモラル先生!」
(どんなことも、途中で投げ出してはダメだと言ったろう!頑張れ!)
「これは・・・みんなが心の中で、俺を応援してくれている・・・!」
(佐々木君!私と一緒にスローライフを送るって言ったじゃない!)
「投子ちゃん!・・・そうだ、僕は投子ちゃんとスローライフ(ポイ捨て人生)を送るんだ!!!」
力が・・・体中から力が湧いてくる・・・!
「うおおおお!!!動けえええ!俺の体ああああああ!!!!!!!」
いけるっ・・・!立てる・・・!
「いよっしゃぁぁぁぁ!!!このまま残りのゴミをポイ捨てしつつ、家に帰るぜ!!!」
その日の夕方
ピンポーン
「はーい」
「佐々木君だね?」
「なっ・・・!?」
「やっと見つけたよ・・・さぁ、来るんだ。君には言いたいことがたくさんあるからね。」
「え・・・あ・・・な、なんでここが分かった!!!」
「沼田君から聞いたんだよ。」
「沼田ァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
みんな、社会のルールは守ろうぜっ! 完
ノリで書いてしまいました。ごめんなさい。
次回作は海の中を舞台にした、イチャイチャ小説を連載していきたいと思います。
こっちは、ちゃんとした話なので、安心してください。
読んでくださってありがとうございました。