旅立ち
ギルスターン王国の首都ワルシャ。
敵国の軍隊が攻めてきて、街のいたるところで煙が上がっている。そして城の中のある部屋では一人の少女が大事な話をされていた。背は160ぐらい。痩せてはいるが出るところは出ておりスタイルがいい。黒髪で少し長めで、顔はどこか大人びている。
「もうこの国はダメだ…しかしお前が生きのびてこの国を取り戻してくれ。」
そう言ったのはこの国の国王ガイアスである。
「そんな…父上や母上や姉上。家臣や国民をおいて自分だけ逃げるなんてできません!!私もここに残り最後まで戦います。」
「それはならぬ。」「それはいけませんわ。」「それはダメだわ。」
ガイアス、そして母親のマリアンヌ、姉のマリアが口をそろえて言った。
「なぜです!!私だって戦ってみんなを守りたい。なぜ父上達と残って戦ってはいけないのですか!?」
「あなたはこの国の王女なのよ。あなたさえ生きていればこの国は再び再建できるわ。だからあなたには生きてここから逃げてもらわないといけないの。」
「私一人生き延びたって…何も…何もできないわよ!!」
「それでもお前はこの国の王女か!!」
「!?」
突然怒鳴られた王女は驚いて顔を上げた。
「お前がここで生き延びなければ生き残った国民や連れ去られた人たちはどうなる!?お前は見捨てるのか!?」
「…!!父上、私は…私は…」
王子が自分の中で葛藤しているとガイアスが少し考え
「まずは同盟国のポリスへ行くのだ。そして王に匿ってもらえ。そこでこれからのことを話しあえ。
」
「ポリスですか!?」
「あぁ。ポリスの王は昔からの友人でな。多分力になってくれるだろう。それとこれを持っていきなさい。」
そう言って首にかかっていたものを渡した。紐の先には小さな箱の型をしたものがついていた。
「それはこの国の王の証だ。それをお前に託す。必ずやこの国に平和をもたらしてくれ。」
「わたくしからはこれを。母はずっとあなたのことを愛してますよ。」
マリアンヌからは魔法がほどこされてる指輪を渡された。
「私からはこれを。必ず生き延びて私達家族の分まで生きてください。」
マリアからはブレスレットを渡された。ちょうどその時知らせが入った。
「ガイアス様!!敵が城の中まで押し寄せてきました。城が落ちるのも時間の問題かと!!。」
そう言ってあわてて入ってきたのはこの国の執事のセバスチャンであった。ガイアスは神妙な顔をしたあと何かをけついしたのかその目付きは鋭くなった。
「兵たちに怯まずに徹底抗戦するように伝えよ!!」
「はぁ!!」
そう言ってセバスチャンは出ていった。ガイアスはそろそろ時間だと言うと隠し通路の仕掛けを解いた。
「この通路を通っていけば城壁の外に出れる。そこから東に向かい、ポリスに行け!!」
「…わかりました。父上、母上、姉上。必ず生きてまた会いましょう。だからさよならは言いません。」
家族との別れをし王女は隠し通路の中へ入っていった。その目には涙を浮かべていた。
王女が行ったあとガイアスはあることを考えていた。
(なぜ同盟国であったジェノバ帝国は宣戦布告をしてきたのだ。なにか、なにか裏にあるな。気を付けろよわが娘フィーアよ。)
そして翌朝城は落ち、王族は捕らえられ処刑された。