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オールゴール機械人形アニュスデイ

作者: gama
掲載日:2025/12/31

雪の降る、戦争で焼け野原になった街。

その中、1体の女性型機械人形が、虚ろな瞳をしながら彷徨っていた。

暖かい家族、優しい使用人達。

彼らの待つ屋敷へと続く道を歩き続けている。


 「さあ、みなさんご覧ください。

 これが、我が屋敷に届きました機械人形です。」

 屋敷に招いた出席者に、豪勢な箱を開け、美しい機械人形を披露する。

 「貴殿も、遂に手を出しましたか」

 「いい値はしましたが、その価値はありましたよ」

 「どのような?」

 「この機械人形は、記録のできるオルゴール人形なんですよ」

 「記録を?」

 ざわつく出席者に、主人は笑み浮かべる。

 「口で説明するより、実際見てもらいましょう」

 そう言いながら機械人形を作動さると、ゆっくりと目を開き箱から出て歩き出す。

 機械人形は、ドレスの裾を手にしお辞儀をする。

 

 「初めまして、わたくしはオルゴール機械人形アニュスデイと申します」

 「アニュスデイ、みなに聞かせてあげなさい」

 「はい、ご主人様」

 一礼をすると、体内から記録紙や先ほどの会話を流すと、ホールに驚きと称賛の声が響く。

 その後、アニュスデイは曲を流し始め踊りを披露した。

 


 それからは、主人の為、ある時は奥方の為、子供達の為、屋敷の為とアニュスデイは曲を奏で踊り続けているはずだった。

 

 隣国との戦争が始まり、幸せな時は静かに崩れて行き、主人も軍人として出兵する事となった。

 アニュスデイは、主人を守って欲しいという奥方の希望で一緒に戦場に赴く。


 戦場では、雑用や備品整理を行い、時には兵士達の心の安らぎを与えていた。

 しかし、次第に戦況は悪化して行く中、主人の指揮する部隊も総攻撃に参加する事なった。

 

 主人は自分のペンダントと、部下の品々をアニュスデイ渡し除隊を命じる。

 「これらと、彼ら声を故郷に届けて欲しい」

 「何故…、わたくしに…?」

 

 どうして自分に託したのか、答えの分からないまま旅を始めた。

 各地を渡り歩きながら、アニュスデイは彼らの品物と声を家族に渡し、感謝され、罵倒され、泣き崩れ、希望を持ち、怒りをぶつけ、多くの人達の感情を目にするのだった。

 

 何故みんな感情が違うのか、何故あのように感情を表すのか。

アニュスデイには理解できないが、彼らの品と声は何ならかの理由があると信じ、旅を続けるのであった。 

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