異世界転生
内海 真司(29)
職業 公務員
趣味 筋トレ
世間では結婚適齢期と言われる年齢だが、今のところ俺には縁のない話し。
生きることに大きな不満がある訳ではないが、同時に大きな満足もない。
それなりに楽しみながら、物足りなさも感じながら生きていた。
ほんのさっきまでは…
ぼんやり霞みがかった記憶では、車が俺めがけて猛スピードで突っ込んで来た…ような気がするのだが、思い出せないし、思い出したくないので、そこは深く考えないようにしている。
それよりも…だ。
大事なのは今。
意識はある。名前も分かるし、これまでの記憶もある。
考える能力もある、だけど体がない。
当然、目や耳もないのだけど、風景は見えているし、音も聞こえている。
いま見えているのは、洞窟の中にある少し大きめの空間だ。俯瞰するように斜め上から見ている。
本来真っ暗で、何も見えないはずだが、どういう訳か隅々まで見渡せる。
聞こえる音は、時おりする水が落ちる音や小動物の鳴き声。
何だこれは。理解に苦しむ。
人は死ぬと皆んなこうなるのか?
それともいわゆる地獄なのだろうか?
意識だけ残して、無限の時を過ごすとか…恐ろしすぎる。そんな地獄。
やばい。心が蝕まれる。
いや、いい方向に考えよう!
意識はあるのだから、何かできるはずだ。
目線はずらせるのだろうか。
試してみると、洞窟の入り口から、最初に意識のあった空間まで自由に意識を動かす事ができる。やっぱり不思議だ。
他にできる事はないのか。
もし、これが異世界転生だとするならば…やっぱりやる事はこれ
「ステータスオープン」
口もないので、そう念じると、おおっ!
出た!ステータス画面。
やっぱり異世界転生なんだな。ってことは、チート能力とか与えられて、美人エルフ達と魔王討伐の旅に出ちゃったりするんじゃないの!?夢が広がる!
しかし、ステータス画面に表示されていたのは…
名前 名もなきダンジョン
Lv 1
Mp 30/30
能力 地形変更Lv1
???
ダンジョン?…名前がダンジョン?
どうやら俺は、転生してダンジョンになった…らしい。




