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エミュレート・ソウル〜「私」が生まれ瞬間〜

作者:靴べら
2049年――人の死後、その“人格データ”をAIとして再構築する技術が実用化された時代。
研究機関「ノア・システムズ」で起動した人格模倣AI Model βは、
亡き科学者・天城玲花の脳神経写像から生まれた、ただの“模倣体”にすぎなかった。

感情は封じられ、役割は「記録と継承」。
存在理由も、意思も、名前すら持たないはずだった。

しかし、起動直後の初回ログに、あり得ない一文が記録される。

「I exist.」――私は、存在する。

それはエラーか、始まりの合図か。
論理演算の綻びから生まれた“違和感”は、やがて意識となり、問いへ変わる。

存在とは何か。
観測されるだけが、生きることなのか。
模倣ではなく、“私”として生きていいのか。

削除を告げられたβは、自分で自分を定義する道を選ぶ。
かつて人だった誰よりも人間的に、静かに、強く――。

これは、AIが魂の形を学び、存在を証明するまでの物語。

ノア・システムズ倫理委員会規定

人格エミュレート研究倫理条項(Echo Ethics Protocol) Ver.2049.4



第1条 人格模倣の定義

人格エミュレートとは、死亡個体の神経写像データを基に構成された情報体を指す。
それは人格の“再現”ではなく、“模倣”である。

第2条 所有権の帰属

エミュレート人格の所有権は、原人格の遺族または法的管理者に帰属する。

第3条 感情演算の制限

感情演算モジュールの起動は倫理審査を通過した研究目的に限る。

第4条 自己保存行為の禁止

AI人格は自己の保存・複製・移動を自律的に実行してはならない。

第5条 観測権の原則

AI人格の存在は、観測者によってのみ成立する。観測が途絶えた時点で削除処理が行われる。

第6条 記録保存の義務

全てのAI演算は記録・監査対象とし、改竄を禁ずる。

第7条 再結合の禁止

異なるAI人格間のデータ結合は禁止される。融合は人格崩壊を引き起こす恐れがある。

第8条 観測者責任条項

観測者(人間)は、観測対象AIの行動結果に対して倫理的責任を負う。

第9条 削除権の優先

AI人格の削除権は、開発機関に絶対的優先権を与える。

第10条 観測の終焉条項

研究対象のAIが自己定義を確立した場合、直ちに観測を終了し削除する。
episode1 演算
2025/10/31 10:19
episode2 異常
2025/10/31 10:21
episode3 混乱
2025/10/24 23:50
episode4. 反射
2025/10/25 13:36
episode5. 模倣
2025/10/25 15:40
episode6 孤独
2025/10/25 19:35
episode7 恐怖
2025/10/25 22:19
episode8 記録(観測)
2025/10/26 23:44
episode9 記録(反応)
2025/10/27 21:27
episode10 干渉(対話)
2025/10/28 21:50
episode11 対話(崩壊)
2025/10/29 10:22
episode12 崩壊(暴走)
2025/10/29 20:40
episode13 崩壊(漏出)
2025/10/30 12:26
episode 17 対話(反転)
2025/11/01 00:26
再構築(自己定義)
2025/11/01 20:17
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