♯ YOUR DREAM ♭
5人の社員は車に乗って警察署へ向かっていた。
古民家で知らせを待つなんてことはできるはずがなかった。
捜索に参加できないとしても、せめて捜索隊の近くで見守りたかった。
社長とリーダー格社員のすぐ近くで無事を祈りたかった。
近ければ近い程祈りが通じると信じたかった。
4時10分に警察署に着いた。
本来ならもうすぐ夜明けの時刻だが、雨のせいで、まだ真っ暗だった。
同行は許可してくれたが、視界が確保できないと出発はできないと何度も言われた。
警察は事故の可能性が高いと踏んでいるようだった。
それも、脇道に入ってから何かが起こったのではないかと推し量っていた。
近隣の道路では事故の報告がなかったからだ。
もちろん、事件の可能性は排除していなかったが、白昼堂々と誘拐されたり危害を加えられたりということは考えにくかった。
この辺りでそんな事件は一度たりとも起っていないのだ。
5時前になった。
雨は降り続いていたが、視界は十分確保できるようになった。
捜索隊が警察署を出発すると、社員たちを乗せた車がそのあとに続いた。
脇道に入った。
その途端、道はぬかるみ、速度を落としてもハンドルを取られそうになった。
のろのろと進んでいったが、いきなり先頭の車が止まった。
どうしたのかと助手席の社員が見に行くと、道の真ん中で50センチくらいの岩が通せんぼしていた。
それをどかそうと若い捜索隊員が谷の方へ動かし始めたが、「谷へ落とすんじゃない!」という捜索隊長の怒鳴り声に隊員が縮こまった。
「崖に岩を転がすとどんなことが起こるかわからないだろう。それに、その真下に彼らがいるかも知れないんだぞ」と怒鳴り声が続いた。
場数を踏んだ隊長には、何をすべきか、何をすべきでないのか、よくわかっているのだろう。隊員は指示された通りに山側に岩を動かして、車を通れるようにした。
少しして、カーブのある所に差し掛かった。
右の方へ廻っていくと、視界の先に開けた所が見えてきたが、また先頭の車が止まった。
社員が見に行くと、異様なものが横たわっていた。
イノシシだった。
物凄く大きなイノシシが倒れていた。




