なんていうか、これが今の俺なんです
はじめに言っておこう、俺はいたってまともな、普通の人間だ。
学校内のとある一室、放課後になると「活動」のため俺はこの場所へとやってくる。
「あ~ん、もういじわるさんなんだからぁ」
ドアを開けるなりそんな甘い声が耳に入ってきた、声の方向に視線をやるとニコニコと笑みを浮かべる一人の女の子が部屋の中央付近、こちらに背を向けているソファーの上にいた。
茶髪にゆるっとした感じのパーマ具合、少し幼さは残るが整った顔立ちで、全体的にほんわかした雰囲気の漂う、『天然系美少女』それが双葉一葉である。
彼女は俺が部屋に入ったことに気づいてないらしい、特に静かに入ったわけではないのだが、今彼女は別のことに夢中なようだ。
「ほ~ら~、もう逃がさないんだからぁ」
どうやらこちらからは確認できないが、ソファーにはもう一人いるらしい、この甘ったるい声の感じと内容だけを聞いたら、ここをどこなのか知らない人ならきっと少しはドキドキしてしまうのだろう。だが、この場所を知っている俺は全くそんな気分にはならない、少し呆れ気味に自分の入室を知らせるように声をかけ近寄る。
「今度は何の実験だよ?」
ソファーに近づくとそこでようやくもう一人を確認できた。
「た、助けて」
少し涙ぐみながら助けを求める少女、いや、美少女か。黒髪ロング色白で細身な、いかにもって感じの『正統派美少女』赤居葵だ。
「ふふふ~手出しは無用ですよ~」
とても楽しそうに言い行為を続行する一葉、必死に拒否する葵。一葉の手には小さい綿棒のようなものが握られているが、見ただけでは何がしたいのか全くわからない。
「んで、一体何の実験なんよ?」
再度聞いてみる。
「人は鼻を犯されてオーガズムに達せられるかの実験だよぉ~」
一葉は瞳を輝かせながら生き生きと答えてくれた。毎度毎度この子は見た目に似合わずハードな実験をなさる。人体実験萌え、他人の身体に対して何らかの実験行為を行いその反応で自分を満たす、それが一葉の持つ異常心理。
見た目に似合わず意外と力持ちな一葉は徐々に葵の抵抗を抑え込んでいく、葵はすでに半泣きから本泣きに変わりそうになっていた。が、まあいつも通り確認。
「んで、今日の葵は抵抗しながらもだんだん逆らえないようになり堕ちていく女の子、そんな設定か?」
葵も瞳を輝かせながら(というか涙ですでに輝きまくっていたのだが)満面の笑みを浮かべた。設定萌え、自分自身に何かしらの設定をしてそれを演じきることで喜びをおぼえる、それが葵の異常心理。
そう、俺たちがいるこの部屋は、とある部活動の活動拠点たる部室、部の名称は異常心理研究部、人呼んでアブノーマル部だ。簡単に言えば変態の集まりである。
はじめに言っておいたが、俺はいたって普通の人間だ、一葉や葵のように変態な一面は持ち合わせてはいない……はずなのだが、今現在このアブノーマル部に所属している。一体何がどうなってこんなことになったのやら。
「あ、あ、あ、あひゃひゃ、ふぁひゃひゃひゃひゃ!!」
ああ、どうやら一葉の実験が最終段階に入ったようだ。
「おーっす、やってるかなー?」
勢いよくドアが開きとびきり元気な声が入ってきた。スポーティなショートカットに着崩した制服、サバサバとしたカッコよさで、今年のバレンタイン一番多くチョコを貰ったと噂の『イケメン的美少女』川野海深の入場だ。
「今日もなかなかハードそうだねー」
「ええ、人は鼻を犯されてオーガズムに達せられるか、が実験テーマだそうで」
「そうかそうか、じゃあ私も早速今日の活動を、いつものように頼む!」
気付いた時には彼女は下着姿になっていた、いつのまに脱いだのやら、隠すまでもなく彼女の異常心理は露出、ただ彼女の場合は自分が満たされるためにはただ脱ぐだけでは足りない。俺はいつも通りにその状態になるように手伝いをする、手足を縛り猿ぐつわをし、どこの教室にも必ずと言っていいほど、常備されている掃除用具のロッカーに彼女を閉じ込めた。密室束縛露出萌え、もう説明することもない、普通に変態だ。
女の子を押し倒し鼻の穴を犯し歓喜する少女、鼻に綿棒を突っ込まれマジ泣きしながらも恍惚の表情を浮かべる少女、ほぼ裸に近い格好で自由を奪われロッカーに閉じ込められて興奮する少女。そんなカオスな部屋で当たり前のようにくつろいでしまう俺、勘違いされては困るので、念押しでもう一度だけ言っておこう、俺はいたってまともな普通の人間だ。