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ファンタジーショートショート:伝説の樹の下で

「これが伝説の樹・・・世界樹・・・」

魔王に攻めこまれている我が国。我が国を救う聖剣が世界樹に眠っているという伝説を頼りに、その武器を探してこいと王に命ぜられ、鬱蒼とした密林をモンスター達の猛攻に遭いながらもどうにか歩を進めて数日。とある目的のために必死になって探していた世界樹がようやく目の前に現れた。

「ここに魔王を倒すための聖剣が眠っているという事だったのだが果たして?」

それにしてもデカい。世界樹の名の通りに幹の太さが先が見えない程。高さに至っても見当もつかないといった具合だ。これはあるなしどちらにしても探索に時間が掛かりそうだな。

そんなことを思いながら幹伝いに歩いていくと

「あら?こんにちは」

少女が居た。こんな密林の奥深くにはまず居ないであろう。どうみても戦闘どころかどこか学校にでも通っているのだろうか制服のようなものを着ている。そして何故か彼女の周りだけ芝生が青々と茂っている。私が今歩いているのは土と雑草で生い茂っているのにも関わらずだ。

「こんにちは。貴方はここで何を?」

警戒しながらも取りあえず声をかける。

「貴方も告白を成功させるために?」

「は?」

少女から来た返答は頓珍漢なものだった。そもそもこんな所で誰に告白するというのだ・・・

「い、いや私はここに魔王を倒せる聖剣が眠っていると聞いて・・・」

「は?魔王?」

私が答えると向こうも困惑したようだ。

「ここは世界樹ではないのか?」

「え?ここは学園の伝説の木ですよ?」

こんなバカでかい木が学園にあってたまるか・・・

頭をこねくり回したうえで出た答えがこれだ

「見えている世界が違う・・・?」

益々困惑する少女に説明する。

「そうだ。恐らく伝説の樹と言うだけでたまたま波長か何かが合っちまったんだろうな?第一俺の恰好見てどう思う?」

「・・・鎧ですか?それに剣も。確かに学園に居たら不審者どころか直ぐ警備員さん案件ですね」

「だろうな。伝説の樹ってだけでその樹自体もだいぶ違うみたいだ」

「不思議なこともあるんですねぇ・・・」

「学生さんはもしかしてその告白の相手を待っていたってことか?」

「そうです。そろそろ来ると思うんですけど。ここで告白すればどんな相手も一発で落とせるっていう伝説があるんですよ!」

「何それ怖い」

この状況が何時まで続くのかと思っていたが、段々相手が薄くなってきた。

「お?どうやら元の認識の世界になるようだぞ」

「ちょっと名残惜しいですね」

「まあ告白の成功を祈っているよ・・・」

「ありがとうございます。あれ?足元に・・・?」

少女が芝生の上から拾い上げたのは正に探していた聖剣であった。

「な!なんでそっちに⁉それを早くこっちに!」

「だ、駄目です!すり抜けちゃう!あぁ・・・」

渡そうとしてくれていたが、私の体をすり抜けてしまいそうこうしている間に彼女ごと聖剣も消えてしまった。

「なんという事だ・・・何のためにここまで・・・」

絶望し、膝から崩れる寸前ある天啓がひらめいた。

「あっちに武器が眠っているってことは・・・こっちの樹は?」


後日魔王軍を世界樹へと誘導し、告白してみるとまさかの魔王OK。無事お付き合いから結婚し、世界は平和になった。

向こうの世界の告白が上手く行ったか分からないが、駄目ならあの聖剣で突いてやればイチコロだろう。

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