表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

ファンタジーショートショート:ミミックトラップ


薄暗いダンジョンの中で、迫りくるゴブリン。俺は襲い掛かってくるゴブリンを棍棒で叩き潰した。

「これでゴブリン20体目か?このくらいで今日は終わりにするかぁ!」

俺は死んだゴブリンから討伐部位の耳をそぎ落とすと、同じくゴブリン討伐のクエストを受けていた相方に声をかける。

「お前も終わったか!こっちもさっきので集まった。これでギルドに報告に行こうぜ」

このゴブリン討伐クエストはダンジョンの比較的浅い階層に出現するゴブリンを必要数討伐するものだ。高額と言うわけではないが、2~3日分の食費位にはなる。

「そもそも、俺たちがこんな階層で遊んでていいのかねぇ・・・?」

「数日ゆっくりしたいが、先立つものがないって言いだしたのはお前ぇじゃねえか」

本来俺たちは、このダンジョンのもっと深い階層でのクエストを受けている人間である。年齢的にも実力的にも中年の域に達している。

前回のクエストでは、何とかクリア出来たものの消耗が激しくそれゆえにその補填だけで資金が消し飛んでしまったのだった。取りあえず休むにも喰うにも金が掛かる為、比較的消耗も無くそこそこ金も良いクエストに飛びついたのだった。

「そんじゃ帰るか。休んだら次はどのクエストを受ける?前回みたいなのはまだまだ俺たちには上だったようだしな」

「それでもクリア出来たんだからすげぇって思わないのかお前は?まあ金も無くなったし、暫くはランクの低いやつを数受けようぜ」

2人でそんな会話をしながら戻っていると通路の先に大きな宝箱が見えた。しかも何故かその宝箱に人の体が喰われているようにくっ付いている。

「ん?なんだこりゃ?ミミックか・・・」

「珍しいなミミックなんてもっと深い階層からじゃないか?」

その喰われている人に関しては触れないようミミックを見てみた。

「んーーーーーー!んんーーーー!」

途端、喰われたと思っていた人の体が暴れ出す。

「うぉ!びっくりした。生きてる?」

「よく見てみれば大分硬そうな金属の全身鎧じゃないか。きっとミミックも噛み切ることが出来なかったんだろうよ」

「間抜けと言うか運がいいというか。どれじゃあ助けてやるか」

幸い、ミミック位なら何度も倒しているし苦戦はしないだろうと俺が動き出す。すると相方が変なことを言い出した。

「なあ?こいつ男か女かどっちだと思う?」

「あぁ?んなのどっちでも構わねえだろ!」

「いや、女だったら金とは別のお礼なんて・・・」

「馬鹿なこと言ってないでさっさと助けるぞ」

「なあなら賭けしないか?男か女か」

「はぁ?」

またこいつの悪癖が出た。腕はいいんだが賭け事が好きでなんでも賭けようとしやがる。

「ほらこいつもこんな鎧来てるんだし、大丈夫だって」

「んーーーーー?んんんーーーー!」

聞こえているぞと言わんばかりに暴れている。

まあ見てみれば全身を覆う金属鎧で体型も分かりにくいし、顔は勿論ミミック側にあるので見えない。声もくぐもっていて分かりにくいな。

「あーーーー・・・じゃあ男」

こんな鎧を着たやつが、最近俺たちの居るギルドに流れてきたなーと記憶していたからだ。あぁでも同じような恰好の女も居たな。こっちは結構な古株だったはずだが・・・

「じゃあ!俺は女に賭けるぜ!負けた方が晩飯奢りな!」

そう言って2人でミミックから引き抜こうとした時だ。

「な・・・なんだこのミミック!」

「今まで見てたのは人の体じゃねぇ!こいつの舌だ!」

そう言うとミミックが大口を開けて俺たちに齧り付いた。勿論金属鎧なんて着ていない。俺たち2人は賭けに負けてミミックの晩飯になっちまったようだ。


この後人がミミックに襲われているように擬態する新種のミミックが発見されたと報告があった。特殊な幻覚まで見せてより人の体に見えるようにされるので注意されたしとの注意書きがギルドに張られることになる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ