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君は強いひとだから  作者: 冬馬亮
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一番の愚か者は誰だ




 リンダは、大好きなバイツァーの言う事なら何でも聞くような考え無しで。


 アッシュは、頼まれればリンダをあっさり抱くくらいに浅はかで。


 バイツァーは、恋人に他の男のベッドに忍べと言うようなロクデナシだった。






「両親がそう簡単に兄とリンダの結婚を許す筈もないんですけどね。兄はリンダと一夜を過ごした事は認めましたが、リンダには他に恋人がいた訳ですし」



 リンダとバイツァーは、自分たちは半年前に別れたと話し、腹の子の父はアッシュだと主張した。


 だが、さすがのロンド伯爵夫妻も、このような事態に陥って尚、リンダの言葉を信じるほど落ちぶれてはいなかった。


 この時、唯一リンダを庇ったのがアッシュだった。そして、その翌日にラエラを呼び出し、婚約解消を告げたのだ。



 ―――そして、ラエラの返り討ちにあった。









「まあ、次の日にはテンプル伯爵が怒鳴り込んで来て下さったお陰で、ラエラさまと兄の婚約はさっさと破棄になったのは良かったと思っています。

 でも実際、リンダが兄の子を身ごもっている可能性は否定しきれないので、その後の対応について両親は悩んでいました。

 取り敢えず、これ以上醜聞が広まらないよう、兄とリンダの外出は一切禁止になって、卒業式も欠席させる事が決まって・・・その頃、バイツァーが姿を消しました」



 主張がすんなり通ると何故か思っていたらしいバイツァーは、状況が不利だと判断したのだろう、監視されていた部屋から夜中にこっそり逃げ出した。



 すぐに見つかるかと思いきや、バイツァーは生家には戻らず、親類縁者の家や周辺の宿も探したものの、それらしい男は見つからず捜索は難航した。



 誰かの家に潜伏しているなら、室内にこもっている限り見つけるのは難しい。

 取り敢えず出て来たところを捕まえる事にして―――問題は、残されたリンダだった。



「もう半狂乱になってすごかったです。バイツァーバイツァーって、妊娠しているのに、泣くわ喚くわ暴れるわ。そんな事したら当然、腹の子にも影響が出るというのに・・・実際、その後に一度流れかけました」



 その頃、リンダから不穏な手紙を受け取ったトムナン男爵が、心配してロンド伯爵家にやって来ていた。そこで聞いた娘の所業と、実際に自分の目で見た娘の変わりように、男爵はショックで目を回して倒れ込んだ。



「意識が戻った男爵が、責任取って娘を殺して自分も死ぬとか言い出して、もうカオスでした。

 お腹の子の父親が誰か白黒ついてないのにそんな事されたら、後々厄介な問題に発展するかもしれないじゃないですか。それに親子で心中するにしても、僕の屋敷(うち)じゃない所でやってもらわないと困ります。

 しかも兄上は、屋敷でそんな騒ぎが起きているのに、現実逃避して部屋でラエラさま宛の恋文を書き始めるし。まあ、こっそり僕がビリビリに破いてやりましたけどね」



 思い出して、怒りが再燃したのだろう。一気に喋ったと思ったら、「あ」と恥ずかしそうに口に手を当てた。











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