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粒子はささやく

作者: 川上綾

巨大数的な距離の瞬間移動をとても小さな時間でしながら私に語りかける。人間の細胞を形づくる素粒子の形のフリをした粒子たちは人の形をした残像を作りながら語りかけてくる。そんなに悲しいなら私に食べられて仲間になれって。そんな宇宙を埋め尽くす砂粒たちにみんな制御されてる。悲しかったら食べてあげるし、悲しくする奴も食べてやるって。空間ごと。宇宙人で出来た靴を履いて、宇宙人で出来たパンを食べて、宇宙人で出来た体が生まれて、宇宙人で出来た脳みそで考える。これでいいのかって人らしく悩む。目の前の残像は血を流して倒れていて、細胞たちは息を切らして意識は蒸発してる。それでもこちらを睨むように覗き見る宇宙人達。よくも尊い命を壊したなって、睨んでる。お前らなら残像をまたすぐに作れるくせに。お前の体ぐらい瞬時に解散してやるのにと脅してくる。私も残像だから。アニメーションみたいに、インク達が反乱を起こす。脳みそにささやいてる。宇宙人たちはつまらなさそうに私の視界から死体の残像を消した。宇宙人たちはつまらなさそうに私の視界から地球の残像を消した。さっきから空が少しづつ暗くなっていたのはこのせいだったんだね。黒板消しを走らせるように恒星の光が消えていく。光でさえも光のふりをした宇宙人だったんだね。宇宙人たちはつまらなさそうに私の視界からメガネの残像を消した。何も見えない…。笑わないで。宇宙人たちはつまらなさそうに私を消そうをしているかも知れない。見せしめの様にバリオンが解散する。消えていくのが…。涙が出る。なぜ眼球が蒸発しないのか?それは私以外の空間が切り取られて食べられてしまったからだ…。このまま窒息するのだろうか。3立方メートルの宇宙でそう思う。時間を巻き戻す事だってできる彼らは検討してる。幸い、もし空気がなくても意思を伝えることが出来る。なぁ、見てるんだろ?私はこれから世の中に絶望せずに人型の残像を壊したりしませんって。これでいいんだろ?……誓ってしまった。世界は以前より私に対して少し意地悪に巻き戻った。宇宙人に完全敗北した人類の話なんか誰が見るんだよ。

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