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第4話
「先輩、今から私の家に来ませんか?」
白は俺の上着の端をつかんで呼び止める
今から?家に?
「なぜ?」
「……お礼がしたいんです」
「必要ない」
俺は突き放すように言う
この店のキャンペーンは九時から十五時までで、あと二十分で終了するからだ
「……分かりました、呼び止めてしまい、すみませんでした」
白は八の字の眉で、あごにしわをよせながら言った
驚いた……初めて白の表情らしい表情を見ることができた
だが、その直後この状況に対する責任感が俺の心を覆った
「勝手なことを言うが、家に行かせて貰ってもいいか?」
「はい……」
いつもの無表情に戻ってしまったが、あんな顔をされるよりはましだ
「どこに住んでいるんだ?」
「駅前のマンションです」
「ついてきて下さい」
何故か白は嬉しそうだ
三人で店を出た後、白と彰が先行し、それに俺がついていく形で家に向う
「で、お礼ってなんだ?」
次回は白視点でこれまでの話を振り返ります