先を歩く人
見渡す限り、青空が広がる空間で、一人俯いたんだ。
まぁ、下を向いても青空だから、どこ向いても変わらないんだけど、前を向くのが嫌でね。
なんせ、前を向いてもずっと追い続けた背中が無くてさ、悲しくなったんだよ。
今、思えば頼りっぱなしだったしな。
まっ、そんな過ぎたことを嘆いても仕方無いし
歩くかと思ったんだけどね、行き先を決めてくれる頼もしい背中は、もう無くなったから、どうやって歩いて行こうかなって悩んだんだよ。
僕には行く宛も才能も何も無い。
だから自分が今、どの方向に歩いてるかすらも分からなかった。だって、どこ見ても同じ景色しか見えないから。新しい景色や君の背中は、この青空の先に有るってことは、知ってるけど……前を向くのは嫌だったから。
もう、いっそ、何も考えずに、のんびり歩こうかなって本気で思ったよ。
歩き疲れて、腐るよりマシだし、何も無いけど、何も失わないから。
このまま流されて退屈だったって死ぬ瞬間に思うんだろうな、でも、それが僕だからって諦めたんだ。
気付けば、辺りも曇り空になっていてね、先のことなんか考えずに、ただずっと下向いて歩いてた。
君の足跡を見つけるまではね。
下向いたから、気付くことも意外と有るもんなんだね。びっくりしたよ灰色の空の中に足跡が浮いてる?んだもん。
んで、まぁ、我ながらヒデェ奴だと思ったけど面倒だからそのまま見なかったことにして素通りしようとしたんだ。
でも、視界に足跡に残ってた君からのメッセージが入ってきたんだ。
立ち止まって、読むとさ、ただ一言だけ書いてるんだよ。
「待ってる」
って。
その時、君がカッコいいと素直に思った。
こんな人間になりたいと思った。
君の足跡は、すぐに途切れてしまってたけど僕の中の何かを確かに、変えたんだ。
だって、僕は今、先を見て歩けてる。
まだ、曇り空は、戻らないけど、歩き続けよう。
いつか青空の中を歩く君の背中を見つけて待たせたなって、どや顔で君に言えるように。
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