幻獣様と異世界の乙女。20
約束するかのような虹をターシェさんや、ベルナさんと見上げていると、
私の隣でシュン・・と音がする。
横を見ると、ヴィオが元の大人に戻ってる!!!
「え?!なんで??」
「・・うん、どうも一度狼になると、元の大きさに戻るみたい」
「えええ・・・」
「キサ!見慣れてって言ったでしょう?!」
ヴィオにプリプリ怒られたけど・・、小さい姿が可愛いのがいけないと思います。横でターシェさんが面白そうに笑って・・、ヴィオを見る。
「頑張ってね〜。シルヴィオ!」
「・・・・・・ハイ」
ヴィオがなんだか気まずそうに横を見るけど、横に何かあったの?
私がそちらを見ると、ターシェさんが声をあげて笑って、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「そろそろ帰るね。またね!キサ、シルヴィオ!!」
「は、はい・・ありがとうございました!」
ターシェさんは、笑って今度こそ帰ってしまった。
うん・・、今回来てくれて本当に良かった。あとでお礼のお手紙を書こう・・。
そうして、私とヴィオは部屋へ戻ったけど・・。
ベッドに腰掛けて、幻獣として国を守護するって、大変なんだなぁ・・って、改めて思った。
ヴィオより大人なはずなのに・・、泣いて怒って、怒鳴っちゃうし。ヴィオの方がずっと落ち着いていて・・。なんというか全然対応できない自分にへこむ。ものすごくへこむ・・。
次は、こう攻撃とかきたら、えいってパンチ・・できるかなぁ??
うんうんと考えながらイメージトレーニングをしている私をヴィオが隣に座って、面白そうに笑って見る。な、何ですか?
「・・キサ、一人で楽しそう」
「違いますよ!?いざとなったら戦えるようにイメージトレーニングしてるんです!!」
「そういうのは僕がやるよ」
「ダメですよ!!国を守る大事な幻獣様なんだから」
私がきっぱりと言うと、ヴィオは私の手を大きな手でそっと包み込む。
「・・さっき、怒ってくれてありがとう」
「そ、それは・・」
「すごく嬉しかった・・」
嬉しかった・・。
その言葉に、私も嬉しくなる。
悔しい思いも、悲しい思いも、一人で抱えて欲しくなかったから・・。私はヴィオを見つめると、柔らかくヴィオは笑って・・
「皆、大好きだけどね。キサが一番大好き!!」
「そ、それは・・はい、嬉しいです、けど」
うう・・、小さいヴィオでも大きいヴィオでもストレートな言葉はやっぱり照れ臭くなってしまう。
ヴィオは外を見て・・
「どの国も人も、皆好きな人や大事な人がいると思うと・・、大事にしたくなるよね・・」
「ヴィオ・・」
「だから、キサ結婚もうしようよ?」
そ、その話題にいったか!!
でも、三ヶ月後でしょう??もう少ししたら二ヶ月後・・になるけど。
まだ心の準備ができてないというか・・。
赤くなって下を俯くと、ヴィオは小さな手で私の手を握って・・
「・・今日はキサの心の中に触れたけど、もっと触れたいんだもん」
・・・触れ・・・
思わぬワードに顔が真っ赤になってしまう・・。
嗚呼!!狼になれば元の姿に戻るとか・・!!もっと後に知って欲しかった!!こんな大人なヴィオに言われて、一体どうすれないいんだ!!
ヴィオはそんな私の様子を見て、ニコニコと笑う。
「キサ、俺を意識してくれてる?」
「そ、そりゃしますよ!!!・・す、好きなんだから・・」
私がそういうと、今度はヴィオが顔を赤くして・・、
大きなため息を吐いて、私を見上げる。
「キサ、今すぐ結婚して」
「嫌です!!!絶対、無理です!!!恥ずかしくて無理です!!」
慌ててベッドから立ち上がり、ヴィオから離れようとすると・・
「キサ!!ずるい!!待って!!」
「ヤダ〜〜!!ヤダヤダヤダ〜〜!!」
「それ、僕のセリフ!!」
と、ヴィオは可笑しそうに笑いながら私を追いかけるけど・・、絶対このまま捕まったらダメな気がする。とにかく部屋の中をグルグル回って・・、最後には捕まって顔中にキスされて、もう死にそうになった・・。




