幻獣様と異世界の乙女。18
まだまだ謎が多くて困る私の体・・。
しかし、こればっかりは手探りなので仕方ない。
ターシェさんは、ヴィオの体が心配で見に来てくれたけど、守り月でないのでそろそろ戻るという・・。慌ただしいし、ちょっと寂しい私・・。
「ターシェさん、もう帰っちゃうんですね・・」
「今度の守り月は僕だから、その時にはゆっくり過ごさせてね!」
「・・・はい・・」
私の頭を面白そうに撫でて、ターシェさんがニヤッと笑うと、私の隣で小さい姿で聞いていたヴィオが・・
「「キサ!僕がいるから、寂しくないよ!!」」
「うう・・、ヴィオ・・。じゃあ、しばらく小さい姿でいて下さいね?」
「それは嫌」
バッサリである。
あはは!!と、可笑しそうに声を上げてターシェさんは笑ってから、ヴィオを見つめて・・
「幻獣は、ある程度お互いの状態を多少は分かってるのはもう知ってるでしょ?一番下の弟が力が弱ってるって分かると心配するんだよ!気をつけてね」
「・・はい。気をつけます」
「うんうん、アイムと違っていい子だな〜〜!!」
そういって、ヴィオの頭をわしゃわしゃと撫でた。
アイムさんの言われようときたら・・。
中庭から、転移して帰るというので・・
ベルナさんと一緒に私達で見送りに向かう。
「別にいいのに〜」
「そんな訳にはいかないでしょう・・。今はどこの幻獣も気をつけて過ごすようにとスメラタ様から、言伝があったでしょうに・・」
ベルナさんがそういうと、ブスッと不満げだけど・・。
他の国も幻獣もそう言われていたのか・・、思わず目を丸くすると、ヴィオが大丈夫だよ・・と言わんばかりに手をぎゅっと握りしめた。
と、ニケさんが他の騎士さんや神官さんも一緒に連れて、見回りに来た。
「お!ターシェ様じゃんか!」
「相変わらず気安いねぇ〜〜」
ニケさん、結構色んな幻獣さんとお知り合いなんだ!?
二人が仲良く話していると・・、ぞくりと背筋が冷たくなるのを感じて、周囲をそっと見る。騎士さんの後ろに神官さんの一人がこちらをじっと見ている?
ヴィオの手がギュッと握られて、
「・・キサ、僕の後ろに」
小声でそう言うので、小さいヴィオのままで大丈夫かな?と、思いつつもそっとヴィオの後ろへ移動すると・・
バシン!!!
と、ものすごい音がして、私は目を丸くする。
ヴィオとターシェさんの前には薄い透明な膜なようなものがいつの間にか張られていて・・、何かを弾いたようだ。
「え?え??」
驚いて、周囲を見ようとすると・・
目の前いっぱいが白銀に輝く毛並みが広がる。
け、毛並み!!!???
目の前にゆうに3メートルはあるんじゃないかという白銀の狼が私の前に立っている!!!
こ、これって・・
もしかしなくても、ヴィオ!!??
小さい子犬のようなヴィオと大型犬くらいのヴィオしか覚えていなかったから、あまりの大きさに目を丸くする。
「「来るぞ!!」」
ヴィオの声にハッとして周囲を見ると、中庭から、廊下から・・と、どこへ潜んでいたのか何人もの人達がこちらを攻撃しようと襲いかかってくる!
ニケさんや、ベルナさん、他の騎士さんも応戦するけれど、仲間だと思っていた神官さんが、急に魔法をかけてきた!!私は急な戦闘にただオロオロするだけで、大きな狼のヴィオに守られるだけだ・・。
魔法をかけられそうになると、ヴィオが尻尾を一振りするだけでものすごい音と共に魔法を打ち消し、剣を振るってくるけれど、今度は魔法で撃退してしまう!!
横にいるターシェさんも、事も無げに攻撃を躱して、逆に弾き飛ばしてしまう!!
す、すごい!!
口をポカンと開けている間に、襲いかかってきた人達は、ヴィオとターシェさんの魔法によって抑えつけられて、ニケさんが騎士さん達と手分けして縛りあげていくのをポカンと見ている私だった・・。




