幻獣様と異世界の乙女。17
散々ターシェさんから撫でくり回されたヴィオ・・。
ヨロヨロになりながら、私の腰に抱きつくけど・・嗚呼〜〜〜、落ち着くなぁ、このサイズ感!
思わずニコニコしていると、ヴィオが私を見上げて・・
「・・そんなに嬉しそうにされても、嬉しくない・・・」
「ええ〜、だって可愛いくて・・」
「もう!!本当にキサはわかってないんだから!」
すみません・・。
やはり小さいサイズは可愛いので・・。頭を撫でたいけど・・ダメかなぁ〜・・。
ターシェさんは可笑しそうに笑って、私を見て・・
「キサ、ヴィオの力の減っているの・・分かる方法教えてあげる」
「え??そんな方法あるんですか?」
ヴィオはちょっとギクリとした顔をすると、ターシェさんはニンマリ笑う。
「シルヴィオ?ちゃんと状態を知っておいて貰わないとまずいでしょう〜?」
・・ターシェさんめっちゃ楽しそうですね。
私とシルヴィオの側へ来て・・、手を繋ぐように話す。小さなヴィオの手を繋いでみせると、ターシェさんは私とヴィオの手を包むように手を重ねる。
「キサ、目を瞑って。シルヴィオの手を・・体の真ん中を見るようなイメージしてみて」
「は、はい!」
目を瞑って・・、シルヴィオの体の真ん中をイメージする。
と、私の手からヴィオの体の中へ入り込む感覚になって・・、胸の中だろうか、チカチカと光っているものが見える?
「まだ目を瞑っててね。その光はヴィオの力だよ。チカチカしてるでしょ?それ弱ってるサインだから」
小さく光るヴィオの力・・。
こんなに弱っていたのに、気付けなかったなんて・・。
異世界の乙女なんて言われてるのに、無力な自分が情けない。ロズとダズの国を助けたいが為に、ヴィオはずっと頑張っていたのに・・。私も力になれたらいいのに・・。
そっとヴィオの手を握り返して、力が・・自分もヴィオに分けられたらなぁそう思った途端、グッと自分の体の中から、ヴィオに光が注がれるイメージが浮かぶ。
「「「「え・・・・・!!???」」」」
私、ヴィオ、ターシェさんの声が重なって・・、
ヴィオのチカチカと弱っていた光が、今や眩しいほどに綺麗にキラキラと煌めいている・・。
そっと目を開けて、ターシェさんを見ると・・ものすごく驚いた顔をしてる!?
「・・もしかして、これ異世界の乙女の力・・??」
「わ、分からないです・・」
「キサは?!キサの体は大丈夫なの!??」
ヴィオは慌てた顔で私を見る。
私は自分の体の周りをちょっと見て・・・。
「・・えっと、元気みたい・・です???」
ターシェさんは、ちょっと考え込んで・・、ベルナさんを見る。
「こっちの古文書には、乙女が力を分けられるって書いてあった?」
「いえ・・。ですが、契約の口づけを交わす際に、異世界の力を分け与えられるので・・、確かに不可能ではないでしょう・・。ただ、キサ様のお体にご負担がないか・・が気になるのは確かです」
そ、そうなの???
私とヴィオはお互い顔を見合わせると、ヴィオが私の手を握って・・
「キサ、ちょっと見るよ?」
「え??で、できるんですか??」
ヴィオは目を瞑って、私の中をイメージしているんだろうか・・真剣な顔をしている。ターシェさんは、同じ幻獣のシルヴィオは見えるけど、私は見えないらしい。
シンと静かな時間に、私が緊張する・・。
ちょっと黙っていたヴィオがそっと目を開けて、ほっと息を吐いた。
「・・大丈夫だった。でも、キサ気をつけてね!力の使いすぎは危険だから!」
「それはヴィオもですよ?」
私にすかさず言われたヴィオは、うっと言葉に詰まって・・、そばで見ていたターシェさんはちょっと安心した顔をしつつ笑っていた。うん・・、ひとまず良かった。




