幻獣様と異世界の乙女。16
アイムさん、スメラタさんに続いて・・守り月でないのに、ターシェさんも来た!
・・と、いっても手紙でしかターシェさんを知らないヴィオは、初めて対面で会うけれど・・。
「君がシルヴィオだね!ようやく会えたね!」
「は、初めまして・・。あ、お手紙ありがとうございます・・」
「可愛い〜〜!!弟って可愛いね!キサ!!」
白い長い髪をふわふわと揺らしながら、私にそう話すターシェさんこそが可愛いと思うけれど・・、それまで年下といえばアイムさんだったので、また可愛さが違うらしい。
中庭で立ち話も、今はちょっと気をつけないといけないので、ひとまず騎士さんに食堂まで一緒に連れていってもらうと、すぐに連絡を受けたベルナさんがやって来た。
ベルナさんはのんびりお茶を飲んでいるターシェさんを見て、
「ターシェ様!まだ守り月でないのに!!」
「んも〜〜!ベルナ固いなぁ・・」
・・あれ?
二人とも知り合い??
私がベルナさんと、ターシェさんを交互に見ると、ベルナさんはちょっと笑って・・
「昔、ターシェ様の警護をしていた時期があったのです」
「「え?!!」」
「その経歴もあって、今回こちらで魔法使いとして雇って頂いたんですよ」
そ、そうだったのか・・。
そういえばそんな事を言ってたような・・そうでないような・・?
ターシェさんはニマニマと笑って・・
「ベルナもちゃんと仕事できてるみたいじゃないか〜」
「ご心配なく。ターシェ様こそ大丈夫なのですか?」
お互い砕けた感じだ。
そっかぁ・・、知り合いなのか。
ターシェさんは飲んでいたカップを、ソーサーにそっと置いて、ヴィオを静かに見る。
「・・清め、頑張ってるみたいだけど、体は大丈夫なの?」
・・え?
ヴィオは、なんともないような顔をしていつも部屋へ戻ってきているけど、違うの??私はヴィオを見ると、ふっと視線を逸らした。
「・・・ヴィオ?」
「・・・体は大丈夫・・」
小さくポツリと話すヴィオに、ターシェさんはちらっと私を見て・・
「そうかな〜?大分疲れてると思うよ?」
「そうなんですか!?ヴィオ、なんで黙ってたんですか?!」
「・・・・心配かけたくないし・・」
そっちの方がよっぽど心配です!!
私はヴィオを見て、
「・・大事なことほど黙っていてはダメですよ?それに・・秘密にされるのは寂しいです」
いきなり倒れた日には、神殿中の人間が私も含めて心配しちゃからね!?
ヴィオはバツが悪そうな顔をして、まだちょっと視線がウロウロしていると、ターシェさんがヴィオを見て・・、
「色んな事が心配で堪らないのは分かるけど、気長にやっていくのも大切なんだ。無理するなよ。せっかくできた可愛い弟なんだから、元気でいてもらわないと困るんだよね〜」
ニマッと笑って・・、私を見るターシェさん。
「キサ、罰として今日のシルヴィオは10歳にして!小さい時の姿・・僕見てないし!」
「「「ええ!!??」」」
びっくりして目を丸くするヴィオ。
了解致しました〜〜。
さっとヴィオの手を繋いで、小さくなれ!って念じると・・あっという間に10歳のヴィオになる!
「うっわ〜〜〜!!!すっごく可愛い〜〜!!!小さい時って可愛い!!!」
小さなヴィオの姿に感動したターシェさんは、ぎゅっとヴィオを抱きしめて、頭や頬を撫でくり回すので、ヴィオは驚いて目を白黒させる。
「わ!!あの、ちょっと・・き、キサぁああ!!!」
「・・黙ってた罰なので、たっぷり可愛いがられてください」
「だ、だって〜〜〜!!」
高い声のヴィオは可愛くて・・、私もつい頬がゆるんでしまう。
ターシェさんは、慌てふためくヴィオをそれはもう猫かわいがりした・・。狼だけど、猫かわいがりした・・。
「はー!!!やっぱ小さいヴィオにまた会いたいから、また無理してもいいよ!!」
って、ヴィオの頭をぐしゃぐしゃに撫でてからそう言ったけど・・、ヴィオは「もうしません・・」ってブスッとして話した。うん、この方法はなかなかいいかもしれない・・。ちょっと覚えておこうって思った・・。




