幻獣様と異世界の乙女。14
ニケさんオススメの料理はどれも美味しくて・・、
さっきまでロズやダズの国の話を聞いていて、ちょっと気が重くなってたけど、一気に軽くなる。
「美味しい〜〜!!」
「キサ、こっちのも美味しいよ」
「ありがとうございます。これも食べます?」
私とヴィオでそんな話をしていると、向かいのニケさんが・・
「食べに来る度、これを見せつけられるのか・・」
と、しみじみ話すので・・思わず顔が赤くなってしまう。
隣のヴィオは、嬉しそうに笑って、
「仲が良い方がずっと良いだろ!!」
・・うん、清々しい笑みだ。
そんな堂々と言えるヴィオってすごい。
ニケさんもベルナさんも、思わず笑ってしまう・・。私は、ちょっと照れ臭い・・かなぁ・・。
お店を後にして、神殿に戻るけれど・・
あっという間の外出は楽しくて・・
「なんだかもっと遊びたいくらいですね・・」
私がそう言うと、ヴィオが小さく笑って、
「また来ようね!約束!」
約束・・。
そうだね、今まで出来ないと思っていた約束ができる・・。
それは何より嬉しい事だ。
私はヴィオを見て、頷くと、嬉しそうに微笑み返してくれた。
神殿へ無事戻ると、マルクさんが玄関の辺りでウロウロと心配していたのか歩き回っていて・・、
「マルク!戻ったよ」
ヴィオがそう言うと、マルクさんは本当に安心した顔をしていた。
そうして、こちらへやってきて・・
「ああ、良かった・・。このマルク・・心配で心配で・・」
「・・何かあったのか?」
ヴィオがマルクさんにそう話すと・・、マルクさんの顔が途端に曇る。
え、な、何・・・???
「・・ロズとダズの内通者がいるやもしれない・・そう、ニケ殿やベルナ殿と話していたのですが・・、その線が濃厚だと、先ほどスメラタ様から連絡が・・。近いうちに接触して来る可能性もあるやもしれないので・・、気をつけるようにとお話しがありました・・」
内通者がいる・・!
ということは・・、以前のように突然襲われる可能性もあるのか・・。
ニケさんは私とヴィオを見て・・
「しばらく俺たちのどちらかが二人をしっかり警護しよう・・。信用できる騎士も選んでおく・・」
「・・わかった、頼む」
あれだけ楽しい気持ちで遊んでいたのに・・。
急に不安になってしまう。
ヴィオは私の手をそっと握ると、小さく微笑んで・・
「キサは絶対、僕が守るから!!」
「幻獣様ですからね?ヴィオ・・」
騎士や魔法使いになりたい!!って言ってたけど、
今こそ僕の出番!!みたいな顔になってるよ?
本来は、守られるべき存在なはずだから・・お願いしますね??
ニケさんは、眉を下げて笑っているけれど・・、マルクさんはオロオロした顔をしている・・。マルクさんの心の安定の為にも、私たちも気をつけて過ごさないとだなぁ。
ひとまず部屋に戻って、私は椅子に座るとテーブルの上に星のカケラを袋から一つ出す。
淡く、白い歪な形のビー玉のようなのに・・、中央が淡く光って・・、海で夢中になって拾っていた時の気持ちを思い出す。うん、楽しかったな。これからもきっと楽しい事がいっぱいあるはずだ。
まだまだ安心できない状況かもしれないけど・・ずっとこの状態が続く訳じゃない・・。と、思いたい。じっと星のカケラを見ていると、ヴィオが私の顔を心配そうに見て・・
「キサ、怖い?」
ヴィオがそう私に聞いてくるので、首を横に振る。
「ヴィオ・・、守ってくれるんでしょう?」
「・・!!うん!!!もちろん!!」
パッと嬉しそうに笑って、ギュウッと座ったままの私を抱きしめる。
「絶対守るよ、お姫様!」
「私はお姫様では・・」
「僕だけの乙女だったね!!」
「・・20歳過ぎて乙女・・、ちょっと恥ずかしいですね・・」
「もう!!キサは僕にとってずっと特別で、大好きな乙女なの!!年は関係ないの!!」
・・プンプンと怒って、ヴィオは私にそう言うので・・、あまりのストレートな言葉に照れてしまう・・。そ、そっか・・、年は関係ないのか。年上だけど・・いいのか・・。




