幻獣様と異世界の乙女。13
四人で星のカケラを拾って、あっという間に一杯になった。
飾るのがすごく楽しみ〜〜!!!
波打際を皆で裸足になって歩きつつ、遠くの沖を眺めると・・、漁をしている船がいくつも見えて、海のある国に来たんだなぁって改めて思う。
「ここがヴィオの守る国なんですね」
「・・うん、本を読むだけじゃあ分からない事、沢山あるね」
「何か街を歩いて、新たに知った事・・あります?」
私がそう言うと、ヴィオが静かに微笑んで・・
「海が綺麗で、街も綺麗で、皆優しくて、楽しそうで・・、星のカケラが落ちているのも面白かったし・・、何よりキサがすごく楽しそうで・・、もっと色々な顔を見たいって思った」
「あれ・・??最後私になってますよ?」
国は??国じゃないの??
私はヴィオを若干複雑な顔で見上げると、小さく吹き出して・・
「僕の守る国でキサが安心して過ごせるように、もっともっと大事にしようって思ったよ」
「そ、そうですか・・」
うん・・なんか改めて言われると
照れますね・・。
ベルナさんは、嬉しそうに微笑んで・・
「シルヴィオ様にそう言って頂けて、我々も嬉しく思います。マルク様が聞いたら・・」
「ぜってぇ号泣すんだろ」
ニケさんの一言に、皆笑ってしまう。
うん・・絶対泣くなぁ。
そうして、のんびりと散策をしながらの会話を楽しんでから、昼食に向かう。
騎士さん達がよく行く食堂らしいが、料理がどれも美味しいらしい!それは楽しみだ〜〜!ベルナさんだけ、ちょっと心配そうだけど・・、多分大丈夫ですよ・・多分。
白い建物だけど、壁に看板がはめ込んであって、
お鍋の絵と店名が描かれている。
すでにいい匂いが扉の前からして、私とヴィオがワクワクしてニケさんの後に続いてお店に入る。
お店のおばちゃんだろうか・・
ニケさんを見ると、軽く手を上げてメニュー表を持って来てくれた。
「あら〜!今日は随分と綺麗な人を連れて来たわね!!」
「いつもだろ、いつも!」
ニケさんが笑いながら、メニュー表を受け取ると
おばちゃんがベルナさんを見て・・
「この人、こんな軽い感じだけど案外良い人だから、よろしくね!!」
と、笑ってカウンターの方へ行った。
ベルナさんはニケさんを見て・・
「・・もしや、私は貴方の相手だと思われていませんか?」
「・・・・俺は、知らないぞ」
私とヴィオがぶっと吹き出してしまった・・。
吹き出してしまったけど・・、今はベルナさんを見てはいけない気がするので、二人で慌ててメニュー表で顔を隠した・・。
ひとまずニケさんのオススメを注文して、袋に入れた星のカケラを出して・・皆でどんな風に神殿で飾ろうかと話していると・・、隣の席の人の話し声が不意に聞こえた。
「ロズとダズの国の王族・・、ほとんど死んだらしいぜ?」
「神の罰だろ?そりゃしょうがないよ・・」
「でも、今度の王族・・大丈夫なのか?」
「そこまでは俺も知らねぇよ。でも、荒れ放題だろ?あの国・・」
「ケルムが近いから、苦労しそうだよなぁ・・」
ケルム・・、
アイムさんの国か・・。
私とヴィオが神妙な顔をしていると、向かいに座るニケさんがちょっと苦笑する。
「皆、結構ロズとダズの事は気にしてんだよなあ・・」
「国交ってあったんですか?」
私が聞くと、ベルナさんが首を横に振る。
「長い事、国交を断絶しております・・。それこそトーラの異世界の乙女を呪った事件が起きた時・・ですから、かれこれ700年くらい前ですね・・」
「な、700年!?」
思わず目を丸くしてベルナさんを見ると・・
横のニケさんが、は〜〜っと大きなため息をつく。
「流石に700年も経ったんだから、改めて立て直していって欲しいんだがな・・」
なかなか重い一言に、ヴィオと一緒に頷くしかなかった。
・・ロズとダズの国の事もちゃんと調べておかないとだなぁ・・。
「あい!お待ちどう〜さん!」
カウンターからおばちゃんが美味しそうな匂いをプンプンさせた料理を持ってきて・・、とりあえずお昼ご飯をまずは堪能することにした。横のヴィオを見ると・・尻尾がないのに嬉しそうに振っているように見えて、小さく笑った私であった。




