幻獣様と異世界の乙女。11
心配そうに神殿の裏の玄関から見送るマルクさんに手を振って・・
初めての街散策にワクワクする私達。
神殿のあるこの街は、首都でもある。
なので、街は基本的に神聖であるとされている白い建物で統一されていて・・、石畳は薄いグレーだけど、建物は全て真っ白!四角い建物で、漆喰で塗られている。
今日みたいに天気がいいと、目が眩しいくらいだ・・。
街ゆく人も、私たちと同じように長いシャツワンピースを着て、帯を締めている。サンダルの人が多いけど、冬になるとブーツになるらしい。
ヴィオと手を繋いで、街の周囲を見るけれど・・完全に異国だ!!
私はワクワクして、家の窓から吊るされている花々や、緑、洗濯物、綺麗な色のお皿なんかも壁に埋め込まれていて・・、見ているだけですっごく楽しい!!
ヴィオも興味津々で、カラフルな窓枠を見ては・・
私に「あっち見て!綺麗!!」と、嬉しそうに教えてくれる。
一つだけ金色に光る建物をベルナさんが指差して・・
「あちらが王がお住いの城です。幻獣シルヴィオ様のお祝いにも何度も駆けつけて下さって・・、今度お会いする予定ですので・・、その際にはシルヴィオ様よろしくお願いいたします」
「・・・分かった・・」
ちょっと嫌そうな顔になっているけど・・、この国を守る守護幻獣ですからね・・。でも、そうかぁ、王様と会う事もあるんだなって思って、遠く金色に光るドームのような建物を見つめた。
と、歩いてて・・ふわっと甘い香りがする。
なんだろう・・?
私が周囲を見回していると、ニケさんがニヤッと笑う。
「美味そうな匂い。気が付いたか?あっちに甘いの売ってるけど、見にいくか?」
「もう!ニケ!!まだ早いのでは?」
ニケさんの言葉にベルナさんが頬を膨らませるけど・・
私とヴィオは顔を見合わせて・・
「「見に行きたい!!」」
そう言うと、こっちだ・・と、ニケさんが案内してくれた。
道の角を曲がると・・リヤカーのような屋台がある。
可愛らしいピンクに塗られたリヤカーには、鉄板が置いてあって・・、クレープみたいなのを焼いている。わ!!可愛い!!
ニケさんは私達が目をキラキラさせていると、手招きして・・
「おら、初めてのお出かけだしな。奢ってやるよ。果物を挟むんだけど、どれがいい?」
「え?!いいんですか?」
「僕、この赤い果物!!初めて見た!!」
ヴィオは嬉しそうに目を輝かせ、すぐ果物を選んでニケさんにお願いしている。うーん、流石幻獣では末っ子。甘え上手だな。ニケさんは、クレープのような生地を焼いているおばちゃんに早速注文する。
鉄板の上に、薄く生地を伸ばし・・
一度大きなら木のお皿にのせて、パタパタと熱を冷ましたら、白いクリームのようなものを薄く塗って、赤い果物をナイフで薄く手の上で切りながらのせていく。ま、まな板とか使わないんだ??!
そうして、私がよく知っているクレープのように巻いて、紙で包むとヴィオに笑顔でおばちゃんが渡してくれた。
「うわ・・ありがとうございます!!」
ヴィオも笑顔で答えると、おばちゃん若干照れている。
わかる・・わかります。
すごくお育ちの良い坊ちゃんのような笑顔ですものね・・。これに毎回、私もオタオタしております・・。
私も続いて、同じ果物でお願いして作ってもらったけど・・
美味しい!!!
クリームっぽいのが、ほんのり甘くて、果物は少し酸っぱいけど・・、甘すぎなくてちょうど良い!!
「美味しいですね!ヴィオ!!」
「これ、神殿でも作りたい!!」
「・・だから、あんなに真剣に見ていたんですか・・」
すっごい真剣に見ているなぁ〜って思ったら・・、そういう事だったのね・・。
「レオルさんにも作ってあげたら喜びそうですね」
「確かに・・。お菓子好きだもんね」
レオルさんの国も、こういうお菓子あるのかな?
守り月の間に、一度ご挨拶に行く予定だし、焼いて持っていってあげたら喜びそうだなぁ・・。そう思いつつ、一年ぶりの買い食いを楽しむ。う〜〜〜ん!美味しい!!




