幻獣様と異世界の乙女。7
中庭のテーブルで、すぐ後にやってきたベルナさんの魔法でお茶を用意してもらって・・、私とヴィオ、ベルナさん、ニケさん、アイムさんでお茶をする。
「や〜、それにしてもキサ、またここに戻って来れて良かったな!!」
「は、はい・・ありがとうございます」
ニコニコとお茶を飲みながら、アイムさんの話す言葉に嬉しいけど、ちょっと照れる。
「まだ暖かい季節だけど、もう少ししたら冬になるだろ?だからこれ、持ってきた!!」
そういってアイムさんの目の前に、急に空中から箱が出てきてびっくりする。
アイムさんは、大きな箱を笑顔でヴィオに渡す。
「守り月で、あちこち国を回るだろうけど・・、冬はパルマもだけど、どこも寒いからな!外套を、キサとシルヴィオにやろうと思ってさ!!」
にっこり笑って話すアイムさんに、
私もヴィオも嬉しくなる。
・・そっか、心配して持ってきてくれたのか・・。ごめん、何をしに来たんだろうって、ちょっと警戒してました・・。
ヴィオは、箱を開けて中を見ると、二着銀色に光るコートが入ってた。
「お揃いだぞ!!」
って、アイムさんが得意げに話すと・・
ヴィオがそれはそれは嬉しそうだ。
「キサ、後で一緒に着てみよう!!」
「はい、もちろんです」
そんな素敵なプレゼント、誰が抗えよう。
もちろん謹んでお受けいたしますとも。
アイムさんは、そんな私達の様子を満足そうに見て・・、
「じゃあ、俺もう帰るけどさ、夫婦仲良く頑張れよ!!」
「え?夫婦??」
アイムさんの言葉に目を丸くすると、ヴィオが慌てたように・・
「そ、そんな風に言われるらしいよ!??」
と、慌てて教えてくれた。
へぇ・・!!そ、そんな風に一緒にいると言われるの??
思わず顔が赤くなる。・・・いや、まぁ、結婚するのは三ヶ月後なんですけどね?
アイムさんは、プレゼントを渡して満足したのか・・あっさりと「じゃあな〜〜!!」と、笑顔で帰って行った・・。うん、相変わらず早いなぁ・・。ヴィオもそう思ったのか・・、ちょっと疲れた顔をしていた。
「キサ!部屋に戻ってこれ着てみよう!!」
「はいはい」
気を取り直したのか、ヴィオが明るい声で話すので早速部屋に戻って二人で着てみると・・ピッタリだ!ヴィオは体に沿うようなコートで、私はケープみたいになっているけど・・
同じ色合いなので、お揃い感がある。
それにしても・・?サイズどうやって知ったの??
不思議に思っていると、ポケットに何か入ってる?
カードが入っていて・・「びっくりしたろ?アイム」って書いてある!!
「アイムさん・・、か、可愛いなぁ・・」
なんか・・ワクワクした顔で書いて、ポケットに入れたんだろうなぁ・・って思ったら、可愛いなぁって思えて笑ってしまう。
「ね、ヴィオ・・これ見て!」
カードを見せようと顔を上げると、ヴィオがすごく複雑そうな顔をしている・・。
・・どうしたの・・?
「・・ヴィオ、何かあった?」
「可愛いって、僕だけに言って欲しいような、でも、もう大人として扱って欲しいから格好いいがいいし・・、でもやっぱり誰かを可愛いって言われるの嫌だし・・」
う、うちの幻獣様は!!!!
十分君は可愛いぞ!って思ったけど、うん・・控えておいた。
ヴィオのそばへ行って、腰の辺りにぎゅっと抱きついて・・
「ヴィオは・・、格好いいけど、可愛いですよ。・・・えっと、そんなところが好きです・・」
後半は、どんどん照れ臭くなって小さい声になったので・・聞こえたんだろうか?まぁ、いいや。言うだけ言って、急に恥ずかしくなって胸元に誤魔化すように顔を埋めると・・、頭の上から盛大なため息が聞こえた。や、やっぱりこれ・・痛い感じ??慌てて体を離そうとすると、逃がさない!!とばかりにギュウッと抱きしめ返された。
「・・キサ、やっぱりもう今日・・結婚しよう?」
・・そ、それはちょっとまだ無理かな・・???




