幻獣様と異世界の乙女。6
翌日、年齢を元に戻すとヴィオは朝の神殿へお仕事に行った。
私も起きて、支度をして・・
それからスメラタさんから貰ったお土産を色々と見る。
音楽を奏でてくれるハープみたいなのが音色が本当に綺麗で、流しつつ部屋を片付けていると、ヴィオが帰ってきた。
「あ、キサそれ聴いてたの?」
「はい!これ綺麗ですね〜」
「うん、キサの状態もいいんだね」
「へ?」
「あれ?言ってたでしょ?気持ちに合わせて音楽を奏でるって」
・・そういえば言ってたような?
ちょっと思い出していると、ヴィオは機嫌良さそうに私のそばへ来ると、ぎゅうっと大人の姿で私を抱きしめる。うわぁああ、ち、小さくしたいんだけど!?
「キサ、日中は僕に慣れるために小さくするのはダメだよ」
「・・せ、先手を打たれてしまった」
「当たり前でしょ!三ヶ月後には結婚するんだからね!」
け、結婚・・。
ジワっと顔を赤くして、ヴィオを見ると・・
ヴィオはちょっと戸惑ったように私を見て・・
「・・・やっぱり嫌は「なし」だからね」
「それは・・しませんよ」
「・・うん!約束」
ニコッと笑って約束を取り付ける辺りは、小さい頃から変わらなくてホッとする。・・・っていうか、まだ大きくなって一年で、何もかもが変わるわけじゃないか・・。体はすごく変化したけど。
ふと、真正面のヴィオの胸板を見る。
今日も白いローブを着ているけど・・、そういえば結構筋肉ある?
小さい時に鍛えていたから、こんなにムキムキな感じなのかな?ああ、でも服を着るとあんまり分からないなぁ・・なんて、胸をポンポンと叩いていると・・
「・・き、キサ・・・?」
「ん?」
なんか顔を真っ赤にして見下ろしているヴィオがいる?
私、何かしちゃったのかな?
あ、勝手に触られて恥ずかしくなっちゃったのかも。悪い事したな。慌てて手を離して謝ると、ヴィオはぎゅっと私の頭を胸元に押し付けるようにして抱きしめ、小さくため息をついて・・
「やっぱ一ヶ月にすれば良かった・・」
って言うけど・・、無理です!!
迎えに来てくれたニケさんと一緒に食堂へ行って朝食を食べ、その後、ヴィオは神殿の奥にもある礼拝堂を掃除してお祈りするらしい。そうか〜幻獣様だもんね。
部屋までヴィオとニケさんが送ってくれたけど、ヴィオは私をじっと見て・・
「キサ、部屋で待っててね!」
「はいはい」
「どこにも行っちゃダメだよ!」
「はいはい」
・・いや、どこにも行きようがないから・・。
まだ街の方へ、一年経ったけど出た事ないし。
いずれどこかへ出かけてみたいなぁ・・なんて思うけど、そういうのって幻獣様は出来るんだろうか。
そんなことを思いつつ、本を読んでいると・・
中庭にドン!!!
と、何かが響く音がする。
何の音だろう?
そう思って、中庭を見ると・・
笑顔のアイムさんがこちらに手を振って立っている!!!
え?!守り月はスメラタさんだし・・来ちゃって大丈夫なの?
慌ててテラスを開けて、中庭まで行くと・・、いつもと変わらない感じでニコーっと笑うアイムさん。
「お〜!キサ、久しぶり!!どうだ元気か?!」
「は、はい・・。その節はありがとうございました!お元気そうで何よりです」
と、アイムさんが来た気配が分かったのだろう。
ヴィオとニケさんも慌ててこちらへやって来た。
「お〜!シルヴィオ!!久しぶり〜!元気か!?」
「その節はお世話になりました・・。ただ、来る時は連絡を下さい」
「あ〜、それなぁよく言われるんだけど、つい忘れるんだよな!」
全く直す気配が見えない・・。
ヴィオも、ニケさんも小さくため息をついている・・。
我!関せず!!・・の、アイムさんはニコニコ笑いつつ、
「ところで、どーだ?シルヴィオ!?新婚生・・「「「「アイムさん!!!お茶にしましょう!!!」」」」
突然アイムさんの言葉を被せるかのように、話し出すヴィオにびっくりする。え・・?なんて言ってた??私が、ヴィオを見ると、顔を赤くしてるし、ニケさんは笑ってるし、アイムさんも不思議そうな顔をしていた。何かあったの???




