幻獣様と異世界の乙女。4
私とヴィオの叫び声を聞いて、ニケさんとベルナさんが慌てて中庭に駆けつけると、ヴィオの姿を見て・・
ニケさん、大爆笑!!
ベルナさんは、目を丸くして立ち尽くし・・、
慌ててやって来たマルクさんは、倒れた・・。
一旦食堂へ戻って、ヴィオは自分の体をまじまじと見る。
「な、なんで・・小さくなったんだ!?」
「体は痛みとかはないの?」
「そういうのは全然ないんだけど・・」
ヴィオはパッと顔を上げて、私を見ると・・耳も尻尾もへにゃ・・と垂れ下がる。
「・・せっかく大人になったのに・・」
くぅ・・!!!
大変な時なのに、ちょっと可愛いって思っちゃった・・。
マルクさんは、困惑した顔をして・・
「しかし、一体なぜ子供の姿に・・。大人になってしまえば、もう戻らないと思っていたのですが・・、古文書もまだ解読途中だというのに・・」
もしかして・・、戻らないと思ってたけど・・戻ることもあったのかも?
それか、私の「異世界の乙女の力」・・・かも?
さっき、もう少し子供だったらなぁ・・って思ったら、縮んだヴィオ。
私は、しょんぼりしているヴィオの手をぎゅっと握って、ヴィオの顔をじっと見つめる。
ヴィオはちょっと驚いた顔をしたかと思うと、「き、キサ??」って言いつつ・・赤い顔をしてる。うーん、もうちょっと小さくならないかなぁ・・。
そう思うと、シュン!!と音がして、
10歳くらいのヴィオになった!!
「ええええ??!!!」
ヴィオはまた小さくなった自分の体を見て、泣きそうな顔になっているし、マルクさんは、また倒れてしまって・・ニケさんが慌てて受け止めてくれた。
私はヴィオの小さい手を握って・・
「・・やっぱり、そうかも・・」
「え、な、何が・・??」
「ヴィオの体の大きさを私がコントロールできるのかも・・」
「え??!キサが!?」
「うん、ちょっと待ってね・・」
念じるように、大きくなれ・・大人になれ。そう思うと・・
シュンと音がして・・
ヴィオはまたいつものような大人の姿に戻った!!
「やっぱり!!私がコントロールできるんだ!!」
「ええ、キサが??なんで??」
「私も分からない・・。でも、もしかしたらこれって「異世界の乙女」が持っている本来の力の一つ・・なのかも?」
そういうと、ベルナさんもヴィオもなるほど・・と頷く。
ニケさんは、マルクさんを長椅子に寝かしつつ、
「って事は、他にもキサがシルヴィオ様に対して出来る事があるって事か?」
「・・多分。でも、そこはスメラタさんに聞かないとかなぁ・・」
「とりあえず僕は、年齢操作がキサができる事を連絡しておくね」
「はい、ありがとうございます」
ヴィオにそう答えるけど、ヴィオの手をずっと繋いでいた事にハッとして、慌てて手を離す。
お、大人のヴィオはまだ心臓に悪い!!
すると、ヴィオは私の離した手をさっと握り、微笑むと・・
「・・キサ、大人の俺にも早く慣れてね」
そういうけど・・、私はさっきの小さいヴィオがいいよ〜〜。
「・・小さいヴィオから、また始めるのはダメ?」
「絶対、ダメ!!小さくしたら、怒るからね!」
「えええ〜〜・・」
残念がる私に、爆笑するニケさん。
笑い声に目を覚まして、マルクさんがヴィオを見て・・
また目眩を起こしていた。
・・うん、マルクさんの心の安寧の為にも、大きくしたり小さくするのはちょっと気をつけよう。
とはいえ、大きいヴィオは心臓に悪いので・・
夜一緒に寝る時は、小さくして・・、心穏やかに寝る事にしよう。そう決意すると、何かを察したヴィオがにっこり私に微笑み・・
「・・朝も夜も、僕を見慣れてね」
と、釘を刺してきた。
な、なんでバレたの??そんなに分かりやすかった?私の顔・・。慌てて、自分の顔を撫でておいた。




