幻獣係は愛を囁く。
色んな事が一気に起きて・・私の頭は爆発するんじゃないかと思った。
ヴィオは私をずっと抱きしめて、嬉しそうに笑い・・
マルクさんは号泣するし、ベルナさんはそんなマルクさんの背中をずっと撫でてるし、ニケさんは眉を下げて笑っていて・・。
花と紙吹雪が舞い散る礼拝堂は、歓声が上がりっぱなしで・・ものすごい熱量に圧倒されていると、スメラタさんは、私達のそばへきて・・
「色々調べていたら、真実が分かってな。伝えるのが今日になって悪かった」
そう言ってニヤッと笑うけど・・
これ、多分もう前に知っていたと思う。
だって・・四人分の名前なんて・・いつの間に集めたんだろう。
私と、ヴィオでスメラタさんにぎゅっと抱きつくと、スメラタさんがちょっと笑って・・
「随分と気の合う二人だな・・」
「ありがとうございます・・」
ヴィオが、スメラタさんに泣きそうな顔で言うと・・
「まぁ、頼れる兄でいたいしな・・」
ちょっと照れ臭そうに話すスメラタさんに、小さく笑う。
スメラタさんは、私とヴィオを見て・・
「・・幻獣は、皆一度は「異世界の乙女」に恋をするんだ・・。けれど、ようやく恋を成就させたのは、シルヴィオだな」
その言葉に、思わず顔が赤くなる。
こ、恋・・ですか。
横でヴィオは嬉しそうに頷き、私の体を抱き寄せる。て、照れるんですけど・・。スメラタさんはヴィオを見て・・
「手紙で、書いてたが・・花火を見るんだろ?」
「覚えてたんですか・・」
「そりゃ、毎日のようにお前がキサが可愛いとか、花火を見るとか、約束してくれないとか・・書いてくればな・・」
そ、そんな事書いてたの!??
思わず目を丸くして、ヴィオを見上げると・・嬉しそうに微笑んで・・
「全部叶う!!すごく嬉しい!!キサ、大好き!!」
「わ、分かりましたから・・ちょ、ちょっと抑えましょうね?」
「なんで?だってキサが好きなのはずっと変わらないよ」
「そ、それは知ってますけど・・、は、恥ずかしいというか・・」
そうだった〜〜!!!
ヴィオは、元はこんな感じでストレートな子でした〜〜!!!
私は、顔を赤くして俯いてしまう。
スメラタさんは、可笑しそうに笑って・・
「しばらくシルヴィオに構ってやってくれ・・」
私の頭を撫でると、手を振ってマルクさんの方へと行ってしまった・・。今度、改めてお礼の手紙を書かないとだなぁ。
ヴィオは私を急に抱き上げて、私を見つめる。
「キサ、約束!花火を一緒に見よう!」
「・・はいはい」
「あとキスもしよう!」
「そ、そういうのは大きい声で言わないで下さい!!」
は、恥ずかしいんだってば!!!
私は目をウロウロさせて、ヴィオを見上げると・・ちょっと涙目だ。
・・そうだね、さっきまでもう二度と会えないって思ってた。会えても、遠くで・・触れる事もできないと思ってた。
そっとヴィオの首元に腕を回す。
そうすると、ヴィオは嬉しそうに私の額にキスをして・・小さな声で囁く。
「キサ・・ねぇ、本当に大好き」
「・・私も本当に大好きですよ」
ヴィオの耳元で小さな声で、そう言うと・・
静かにヴィオがまた唇を重ねて・・
「やっと本当に言ってくれた・・」
「・・お、遅くなりまして・・」
「ううん・・、待ってたけど・・、来てくれたから・・」
・・そっか、待っててくれたのか。
なんだか小さな子犬が、帰りをずっと待っている光景が思い浮かんで・・泣きそうになってしまう。
「・・これからは、ずっといますよ」
「うん!約束ね」
「はい、約束します」
ヴィオは、私がそう言うと・・蕩けそうな瞳になって私を抱き上げたまま、歓声の響く礼拝堂を後にして・・約束していた屋上へ急ぐ。
まだ昼間だし、花火はそんなに見えないだろうに・・。
嬉しそうな横顔を見ると、私も嬉しい。
ずっとそばにいると、約束できて・・、すごく嬉しい。
「ねぇ、ヴィオ・・本当に大好きですよ」
本当に、本当に大好きだとヴィオに伝えて、嬉しそうなヴィオを抱きしめた。




