幻獣様のお世話係始める。6
朝食後、早速中庭を散歩したいと話すと、ベルナさんがついてきてくれる事になった。助かります・・。まだ、この神殿の中、広い上に一人で歩いたら多分迷うし・・。
中庭に連れていって貰うと、昨日も思ったけど・・結構広い!
広い芝生の真ん中に大きな噴水があって、庭を囲うように色々な花が植えてあってとても綺麗だ。
シルヴィオ様を抱えていたけど、ここなら一緒に歩くのもいいかも。
「下ろすから、一緒に歩いてみようか?」
私がそういうと、コクっと頷くのでそっと下ろす。
そういえば散歩って初めてなのかな?後ろで微笑みながら立っているベルナさんを見て・・、
「ベルナさん、シルヴィオ様って散歩初めてなんですか?」
「そうですね・・、今までは生命を維持するので手一杯で・・、今日が初めてです!ですので、このような感動の場面に立ち会う事ができて、とても嬉しいです!」
そうなのか・・、結構苦労してたんだな。
私は見上げるシルヴィオ様の頭を撫でて・・、
「これからは一緒に散歩したり、遊んだりしましょうね」
そういうと、嬉しそうにまた手に頭を擦り付けてくる。
分かった・・、分かったから・・。
「あっちのお花見てきましょうか?お部屋から見えて、綺麗だなぁって思ったんだけど・・」
そう言いながら歩いていくと、ちょこちょこ歩いてついてくる。
可愛い〜〜〜!!!
ベルナさんと私の顔がデレデレである。
お花の匂いを不思議そうに嗅いで・・、
ハッとしたような顔をして、こちらを見る。
「いい匂いがしましたか?色も確かに綺麗ですね〜」
白い小花なんだけど、真ん中が淡いピンク色で匂いも甘くて・・。私の世界にもこんな花あったなぁ・・なんて思い出した。
「蜜が飲める花なんていうのも、私の世界にはあったんですよ〜」
シルヴィオ様は目をパチクリさせて私を見る。
そんな事するの?!と、言わんばかりの眼差しに思わず笑っちゃう。
「蜜を吸うなんて・・、なかなか良い経験しておられますね」
「田舎に住んでたから、結構お転婆だったんです」
「そうなんですか〜。なんだか落ち着いてらっしゃるので、意外です」
落ち着いてる??
そんなの初めて言われたような気がする・・。
よくボ〜ッとしているなら、言われるけど・・、と、シルヴィオ様を見ると、花を口でそっと咥えて持ってきてくれる。しゃがんでその花を見ようとすると、私の膝の上にそっと置く。
「え?蜜を吸えって事?これ、あるの???」
私が不思議そうに聞くと、頭を横に振るので・・ベルナさんがクスクスと笑って、
「キサ様に、あげたかったのでは?」
「あ、そ、そういう事?ありがとう〜〜!!!」
わしゃわしゃと頭を撫でると、得意げな顔をするので胸がキュンとする。幻獣ってこんなに可愛いの!?これは、堪らないわ・・。
「一年後にはお別れしちゃうのかと思うと、寂しいですね・・」
「ふふ、そう思って頂けて嬉しいです」
嬉しそうに笑うベルナさんと会話をしていると、
シルヴィオ様がじっと私を見る。何かな?
「どうしたんですか?シルヴィオ様???」
しゃがんでいた私の足元に頭をグリグリと擦り付ける。疲れちゃったから、抱っこして欲しいのかな?そっと持ち上げて、銀色の毛並みをそっと撫でる。
「・・初めて外に出たから、疲れちゃいましたか?」
腕の中で、静かにコクっと頷く。
そっか、じゃあ抱っこしたままお庭をぐるっと回って、色々見せてあげよう。
「じゃあ、一緒にお花を見てから部屋に戻りますか」
そういうと、ぺろっと顎を舐められた。
ベルナさんは小さく笑いつつ、一緒に回って・・、お花や薬草も植えられているのか色々教えてくれた。
「薬草もあるんですね・・」
「そうですね。神殿は病を治す場でもありますから」
「ああ、病院みたいな・・?」
「そういった病ではなく、主に除霊ですね」
「除霊・・・」
いきなりのホラーな単語に思わずシルヴィオ様をぎゅっと抱いた・・。
ホラーは一番苦手なんです・・。