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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
59/186

幻獣様のお世話係、解任される。


ほかほかとする・・。


体がふんわりと柔らかいもので包まれている感じがして・・、そっと目を開ける。



「・・あれ?」



いつもの天蓋ベッドじゃない?

でも、天井には豪華な絵が描かれていて・・、竜が空を飛んでいる絵が見える。周囲を寝たまま見ると、大きなベッドに寝かされている事に気付く・・。


ゆっくり体を起こすと、小さな足音が聞こえる。

紺色の髪に、紺色の瞳をして、耳が先っぽが尖っている小さな男の子・・10歳くらいかな??ニコニコして私を見ると、



「あ、起きた〜!スメラタ様ぁ〜〜!起きましたぁ〜!!」



スメラタさん?!!

私は、驚いて男の子が呼ぶほうを見ると、大きな茶色の重厚な木の扉からスメラタさんが顔を出した。



「おお、起きたか・・」

「あの、ここは!?ヴィ、ヴィオは?!!」


「ヴィオは、パルマの神殿にいる。お前さんと離れていても無事だから安心しろ」



そ、そうなの???なんで??

私が不思議そうな顔をしていると、小さな男の子がスメラタさんの濃紺のローブを引っ張って・・


「スメラタ様、なんでここにいるかを説明してないです〜」

「・・おお、そうだったな・・」


・・なるほど、いいコンビっぽい。

スメラタさんは、ベッドのそばに置いてある椅子に座ると、私を見て・・



「ロズの国が、ニケの使う剣に呪いを仕込んでいてな・・、その呪いにお前が掛かった。幸い、ヴィオがその呪いを解呪したんだが・・、口づけをする必要があった」


「・・え・・」



それって・・

「異世界の力」を渡してしまうことになるよね?

そうしたら、私はヴィオの側にいられない・・って事だよね?だから・・、私はスメラタさんのところにいるの???



「シルヴィオの体は、完全に「大人」になったので、キサが側にいる必要はなくなったが・・、四ヶ月も早く大人になってしまうと体が成長に耐えられないから、魔力で少しずつ成長するようにしてきた」



そうか・・。

私はもう完全に側にいなくてもいい状態になったのか・・。



「・・もう、私はヴィオの側にいられない・・って事ですよね」


「あと四ヶ月後の成人の祝いには、国外の客に譲渡をしたフリをする必要があるので、儀式には出てもらう必要がある。その時だけ、俺の魔力でキサの体を包んで守るが、それ以降は・・」



・・もう、いられないのか。

急展開に頭が追いつかない・・。ヴィオの顔が思い浮かぶ。


「・・・ヴィオは・・」


泣いてないかな・・。

急に事実を知って・・、ショックを受けてるんじゃないか・・

そう思うと、言葉が出てこない。



スメラタさんは、私を見て小さく笑うと、


「泣くのを我慢してた」


その言葉に、ぼろっと涙が出てきた。



・・ヴィオは我慢してたのに・・、私が泣いてしまって・・、なんとか涙を止めたいのに次から次へと出てきてしまう。小さな男の子がハンカチを渡してくれて、お礼を言って受け取るとなんとか涙を拭く。



「・・辛かったな」



スメラタさんが頭を優しく撫でるけど・・

やめてくれ〜〜、もう涙が止まらなくなる。


「・・もうちょっと側にいたかったんですけど・・」

「そうだな」

「でも、側にいるのも・・いずれ別れると思うと辛くて・・」

「そうだろうな」

「・・どっちにしても、辛いですね・・」

「そうだな・・」


なんかもうグズグズと泣いてしまって・・、ずっと我慢していたことを思わずぶちまけてしまった・・。小さな男の子が、「スメラタ様が泣かした〜〜」っていうけど、ち、違うの〜〜。今は泣いてるから言えないけど、あとでちゃんと伝えよう・・。



「・・ここにいれば、ロズも流石に手が出せないから、キサは成人の祝いまでゆっくり過ごせ。別に、その後もここに住んで構わない」



やっと泣くのが落ち着くと、スメラタさんは小さく微笑んでそう言ってくれて・・、またうっかり泣きそうになった。幻獣様って、優しいなぁ・・。


うちの甘えん坊な優しいヴィオは大丈夫かな・・、そう思って窓の外を見ると・・綺麗な青空と見た事のない山の風景が広がっていて・・、もう帰れない事にまた胸が痛んだ。



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