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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
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幻獣様のお世話係は奔走する。1


雪がすっかり溶けて、春の陽気を感じる。


中庭の花々が、元気よく咲き出して・・、蝶がひらひら飛んでるのをみると・・、あっという間に春だなぁって思う。中庭の花は好きなだけ摘んでいいとマルクさんが言ってくれたので、お部屋に飾ろうと摘んでいると・・



「キサー!!!」



ガバッと後ろからヴィオが抱きしめにかかる。


「ヴィオ様・・、いきなり来るとびっくりします・・」

「ごめーん!!」


全然悪びれてないヴィオがいたずらが成功して嬉しい!とばかりに笑う。


半年のお祝いが終わって二週間・・。

ヴィオの身長が急に伸びて・・、とうとう私の背を越してしまった。


い、いや、まだ爪先立ちすれば私が勝てるけど!!



「キサ、小さくなったな〜」

「失礼な!!人の大きさは、体の大小で決まるものではありません!」



・・ちょっと悔しいので、口を尖らせてそういうと、ヴィオはニヤニヤしてる。くそう・・、反抗期がもう来たのか?!後ろからやってきたニケさんが呆れるようにヴィオを見て・・


「好きな子をいじめるガキか」

「ガキじゃない!」


「はいはい、やめましょうね・・。剣の練習は終わったんですか?」


もうこの二人は〜・・。

最近はバチバチにらみ合ったりするから、本当に大変だ・・。まぁ、剣の練習の時は、ちゃんとお互いを認めて練習しているようだけど。



ベルナさんが、魔法の教科書を持って中庭へ来る。


「おやおやお揃いで。どうしますか、シルヴィオ様・・魔法の練習をしてもいいですけれど、せっかくいい天気ですし、ここでお茶を飲んで少し休憩してから・・にでもしましょうか?」


「ここで休憩する!キサもお茶を飲もう」


ニコニコ笑うヴィオに微笑みつつ頷くと、嬉しそうにテーブルとベンチの方へ私の手を繋いで歩いていく。



・・背中がすっかりお兄さんみたいだなぁ。

これからどんどん筋肉とかついて、がっしりしていくのかなぁ・・。

ああ・・小さい頃のヴィオがすでに恋しい・・。



椅子を引いてくれて、ベルナさんが魔法でお茶を出してくれる。

こんな事もできるの!?って驚く。


向かいの席に、ニケさんとベルナさんも座って・・、木陰の下、気持ちのいい風を受けながら飲むお茶が美味しい!



「ベルナさんの魔法、いいなぁ・・。私も魔法が使えたらなぁ・・」

「ふふ・・ありがとうございます」


「キサ、お茶なら僕がいつでも出してあげるよ?」

「自分でやりたいんですよ・・」



いつか一人暮らしするかもだし・・。

あ、そうか・・、その練習も私もしないとだ。一人暮らししてたけど、こっちでは初めての生活になる訳だし・・。どんな物が売っていて、どんな仕事があるかも知りたいしなぁ。



「・・何か、仕事ってないですかね?」



私がボソッと言うと、ヴィオが不思議そうな顔をする。



「キサ、僕のそばにいるのに仕事するの?」

「いや、練習がてら・・」

「何の練習・・?」



ハッとして、慌てて「何もしてないと、ボ〜ッとしちゃって・・」と誤魔化した。あっぶな!!出ていくなんて知ったら、大惨事になる所だった・・。


ニケさんとベルナさんは、なんとなく話を聞いているのか私の話に上手く合わせてくれて、


「確かに、ここにずっといるとボンヤリしちゃいますね・・。気持ちもいい季節ですし」

「なーんか楽しい事、してぇよな〜」


と、話してくれて・・

ナイスフォロー!&アシスト!!と、胸をなで下ろす。

ヴィオは不思議そうな顔をしつつ・・



「楽しい事・・」



と、ちょっと考え・・、パッと顔を上げる。



「じゃあ、ご飯作って、外で食べよう!!お茶飲んでいても気持ちいいくらいだし、お弁当作ってみたい!」



中学生くらいの顔をしたヴィオが耳をピクピク動かして、目を輝かせる。

確かに・・、外で食べるのは楽しそうだ。



「いいですね・・、私もお手伝いします!」

「ヤッタァ!じゃあ、マルクに相談しにいこ!!」



そういって、急に腕を引っ張るけど、力が強い!

本当に力がついてきたんだなぁって、驚いてしまう。テーブルにいるニケさんと、ベルナさんに「ありがとう」とばかりに目線を送ると、二人は小さく笑って頷いてくれた。・・・ヴィオ君、ちょっと落ち着こうね・・。




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