幻獣様のお世話係始める。3
夕食を終えて、お風呂に入ろうとして・・、ふと思った・・。
シルヴィオ様って、お風呂どうすればいいだろ。
ベッドで不思議そうに私を見ているけど・・、マルクさんには何かあればいつでも呼んで下さいって、部屋に鈴を置かれた時はびっくりしたけど・・、呼ぶべき???
「・・シルヴィオ様って、お風呂に入る?」
この際なので、聞いてみると・・目をパチクリして首を横に振る。
言葉はやっぱり理解しているんだな・・。
「もしかしてお風呂嫌い?」
シルヴィオ様は、ちょっと目を逸らす。
なるほど・・分かりやすい。
「泡が目に入るのが嫌とか?」
そういうと、コクっと頷く。いちいち可愛いなぁ・・。
「じゃあ、泡が入らないように洗えばいい?」
ちょっと考え込む顔をする・・。泡が入らないようにするだけではダメなのか・・。他に何が嫌なのかな・・。
「一緒に入るの、恥ずかしい?」
シルヴィオ様は遠慮がちに頷く。
可愛い!!かーーわーーいーーいーー!!!!なんと、恥ずかしいとな!!可愛いな!!!思わずわしゃわしゃと頭を撫でたよ。
「そっか、恥ずかしいのかぁ・・、じゃあ、お洋服着ておくから、泡が目に入らないようにもするから、洗わせてくれる?それならどうかな?」
私がシルヴィオ様と目線を同じ高さにしてそう話すと、ちょっと私に近付いてきて、顔をペロッと舐める。どうやら良いらしい!
「じゃあ、お風呂にちょっとお湯を入れてくるね」
優しく頭を撫でて、お風呂場へ行くと・・似通った蛇口がある。
良かった〜〜!!こっちも同じような世界で・・。
上下水道は大切だ。
お湯を入れて、石鹸がおいてあるのも確認する。シャンプーは流石にないのか・・。
じゃあ、これを泡立てて洗えばいいかな?
そんな事を考えていると、トットッと足音が聞こえて、振り返ると
シルヴィオ様がお風呂場の入り口にちょこんと座っている。
「・・もしかして、心配してきたの?」
コクっとまた頷くから、可愛い上に優しいなぁと感動してしまう。
「・・君は本当にいい子だねぇ・・」
あ、シルヴィオ様って言った方が良かった?
まぁ、二人の時だけは許して欲しい。
シルヴィオ様は、目をまたパチクリさせて私を見るけど、尻尾をパタパタと揺らす。どうやらオッケーらしい。
「じゃあ、せっかく来てくれたし・・、一緒に入っちゃおうか」
ロングワンピースなので、スカートの裾をちょっと上げて軽く縛ると、シルヴィオ様は急に後ろを向く。あ、お風呂嫌いって言ってたし・・、怖くなったのかな?
「大丈夫、怖くないからね。泡も目に入らないようにするからね」
そういって脇に手を入れて持ち上げて、大きめの洗面器にお湯を流し入れて、丁寧に洗って上げた。暴れない上に、静かに洗わせてくれて・・、もっと暴れるかと思っていたので大助かりである。
大きめのバスタオルがいくつも置いてあったので、それで拭きながら・・
「偉かったね〜」「頑張ったね〜」「流石幻獣様!」
って、褒めると尻尾が嬉しそうにパタパタ揺れていて・・
もう1日で私の心はガッツリ掴まれてるんだけど・・。
すっかり乾いたシルヴィオ様は、ベッドに飛び乗ってまたコロンと寝転がる。
うん、どうやら満足して頂けたようだ。
私は洗うのに夢中で、汗をかいたので・・
シルヴィオ様に、お風呂に入ってくるね〜と言って入ってから気付いた・・。
「着替え忘れた・・」
クローゼットまで行かないと、服はないよね・・。
バスタオルが入った棚を見てもリネン類しかないし・・。
仕方ない。バスタオルは大きいし、サッと出れば大丈夫だろう。お風呂場を出て、廊下を隔てた向こうがクローゼットだし・・。
バスタオルをクルッと体に巻いて、お風呂場を出て・・、洗面所の扉を開けると、目の前にシルヴィオ様が座ってる。
「あれ?!ここで待っててくれたの?!」
私がそういうと、シルヴィオ様は目をパチクリさせたと思ったら、そのままコテッと倒れた。
「わわ!!ちょ、ちょっと大丈夫!!??」
持ち上げて、慌ててシルヴィオ様の顔を見ると・・
サッと目を逸らされた・・。
なぜだ・・。