幻獣様の願い。
ヴィオ視点ですー。
スメラタさんが遊びに来てくれた!
知らない幻獣が、ここへ遊びに来るなんて珍しいって、マルクは言ってたけど・・、結構優しい人で嬉しかった!お土産も沢山貰ったし、キサといっぱい遊べるって思った。
守護魔法を掛けてくれたけど・・、
あとで知ったけど、この魔法は幻獣しかできないすごい魔法だった。
こんなの僕もいずれはできるようになるのかな。
格好いいなって思って、お兄さんになるぞって思ったら、キサは「手をつなぐのも、キスも控えた方が・・」っていうけど、そんなの嫌に決まってる。
一緒にパンケーキを作って、初めて食べた味に感激して・・、僕の作ったパンケーキを美味しそうに食べるキサが嬉しくて・・、マルクやニケ、ベルナにもあげたら同じように喜んでくれて嬉しかった。
だから、また作るねって約束した。
一緒にいて、何枚も焼いて、
また喜んで食べて欲しいって、思った。
それなのに、キサ泣いちゃった・・。喜んで笑ってくれると思ったのに。
ベッドで、キサが寝たのを見て・・、大好きって言って・・頬にそっとキスした。ねぇ、もう泣かないでね?ずっと笑っててね。ずーっと一緒にいるから、大丈夫だよって思った。
次の日、花火を一緒に見て・・
いつかは二人だけで見たいなぁって思って・・、一緒に見ようねって約束したいのに、キサは曖昧な返事しかしない。もう!なんでキサ、はっきり約束してくれないんだろ。
ちょっと悔しかったけど・・。
でも、キサは僕のだし。
そう思っていたら、新年の朝・・、珍しく寝過ごした僕の目の前で、ニケが白い包みのお守りをキサに渡しているのを見た時、カッと頭に血が上った。
白の色の意味は、大切な人。
大好きな人に贈る色だ。
「「キサ!!」」
だめだ、だめ!!キサは僕のだ!!僕の大事な人だ!!
驚いて戸惑うキサに、お守りの意味なんて教えられない・・。だって、それを知ったら・・、僕はまだ子供だし、ニケを好きなったら・・なんて思ったら、口が裂けても意味なんて言えない。
ニケ・・、絶対いつかぶっ飛ばす!!
キサにお守りを欲しいとねだって、マルクさんに聞いているキサを見る。
意味を知ったら、ニケを好きになっちゃうかな・・って心配だし、
白の色以外を贈られても嫌だ。
ああ、自分の体が今すぐ大きくなって、キサが自分だけを見てくれたらいいのに・・。そうしたら、こんな想いをしなくて済むのに・・。
そんなことを思いながら舞の練習をしていると、
体がすごくゾクゾクした。
キサがいない!!!
ベルナと急いで探しに行った時、ナイフを持っている奴に追いかけられていて、心臓が凍りそうだった。急いで、キサを庇って・・スメラタさんの守護魔法で助かったけど・・
キサは泣いて怒った。
どうして?
だって僕はキサが大事なんだよ?
そう思ったら、その後のキサはすごかった・・。
「私の方が大事です!」とか、
「もうとっくに大切」だとか、
極めつけは、白いお守りを僕に手渡ししてくれた事だ。
ねぇ、知ってる?
女性から渡すのは、もう告白なんだよ?・・大好きですって、いう意味なの・・。僕は嬉しくて、嬉しくて・・、でも、きっと意味は知らないだろうキサをじっと見つめる。
胸が痛い。
大好きなのに痛い。
そう伝えたら、赤い顔をしてベッドに倒れるキサが・・僕は本当に大好きだよ。
半年のお祝いを迎えて・・
大人に見られたい僕は、本当はずっと朝から一緒に居たかったけど、ちゃんと支度をした・・。ニケが余計なことをいうから、すぐ僕も褒めると顔を赤らめてくれて、嬉しかった。
スメラタさんに、キサの話をいつも手紙で書いていたら、
いつかのお手紙に白い花のピンを送ってくれた。
「一番大事な人にあげろ」
そう書いてあって・・、そんなのキサしかいない。
迷う事なくキサにプレゼントすると、驚いていたけど・・いいの!!僕の一番大事な人、大好きな人はキサだもん。
キサにずっと側にいてねって話すと、泣きそうな顔になって僕の手を握る。
ねぇ・・僕、本当に言葉が欲しいな。
ずっといるって、大好きって、言って欲しい。
何かあるのかな・・、
あと半年しかないのに・・、キサはまだ約束してくれない。
いつか約束してね。
好きにならなくてもいいから、そばにいるって・・。
それだけでもいいから、約束して欲しい。
そう思って、舞の後に白い花をプレゼントした。
最初にあげた白い花。
大事な人、大好きな人、ずっと側にいて欲しいキサに。




