表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
36/186

幻獣様の成長期。13


あっという間に半年が経った。


ヴィオは私の耳辺りまで背が伸びて・・


「お祝いまでには、背を越したかったのに!!」


と、悔しそうに話す。ふふ〜ん、まだまだ私の方が大きいもんね。ちょっと勝ち誇った顔をしたら、「絶対すぐに抜かす!」って言ってた・・。そういう所、まだまだ可愛いね。



今日は半年のお祝いの日だ。

12歳くらいの少年になったヴィオは、支度をしに行く私をゴネる事なく見送り、自分も支度しに行った。


「大人になりましたね・・」


ベルナさんに感慨深く言われて、頷いた。

・・1ヶ月目の時も、3ヶ月目のお祝いの時もあんなにぐずって、ゴネていたのに!!ちょっと嬉しい反面、寂しい。



「寂しい・・と、思っちゃうのは親心ですかね」

「恐らく。でも、それはシルヴィオ様には言わないでおいて頂けると・・」



ベルナさんは、ちょっと眉を下げて笑う。

そうだよね〜、きっとまた「子供扱いして!!」って言うだろうし・・。うん、まだまだ可愛いヴィオだ。


「では、私も支度してきます」

「はい、行ってらっしゃいませ」


ニコッとベルナさんに微笑まれ、女性の神官生の皆さんの待っている部屋へ入る。今回は、少し伸びた髪に白いリボンを一緒に編み込み、手首と足首にヴィオが舞う時につける鈴を同じように付ける。


白いワンピース・・だけど、後ろのスカートの部分が長くて・・

なんだかドレスみたいだ。



毎回思うけど、本当に凄く綺麗にしてもらって・・、感謝ばかりだ。

お礼を言って、部屋を出ると・・



銀色の長いワンピースに濃い緑の布を腰に巻いて、私と同じように手首と足首に、銀の鈴をつけて・・凛とした姿で、ヴィオが立ってこちらを見ている。



「・・わ・・、ヴィオ、格好いいね!銀色の衣装が似合ってる!」

「ありがとう。キサもすごく綺麗だよ!」



ニコッと笑うけど・・、この前のように照れていない・・。

これが成長か・・。


ヴィオの横にいたニケさんが私を見て、


「花みたいだなぁ・・、キサ」

「あ、ありがとうございます・・」


思わず照れてしまうと、ヴィオがさっと私の前に立って・・



「キサって呼んでいいのは僕だけ!!」



うん、そこは変わってなくて安心する。

私がクスクスと笑っているとヴィオは私を見て・・顔をちょっと赤くしつつ・・



「・・キサは、どんな花よりも綺麗だから・・」



やめてくれ〜〜〜〜!!!

これからお祝いなのに、私の心臓が止まったら大変だからやめてくれ!!

一気に顔が赤くなって、思わず俯いてしまう。誰か助けて・・。


照れている私に、ヴィオが胸のポケットから小さな白い花がついたピンを出して、私の耳の生え際のところへそっと挿し込む。



「・・これ?どうしたんですか?」

「スメラタさんが送ってくれた!この間の手紙のお礼だって!」


「・・いつの間に・・」



そう・・あれからなんだかんだとヴィオは、スメラタさんと文通を続けている。

他の幻獣さんからもお手紙をもらうけど、スメラタさんからが一番多いみたいだ。



「やっぱり、キサに似合ってる!」

「こんなに素敵なものを貰っていいんですか?」


「いいの!スメラタさんに「一番大事な人にあげろ」って言われたし!!」

「え、えええ・・・・」



いいのか?私でいいのか?

仮にも現役の幻獣様からの物を受け取っていいのか??私が悩ましげな顔をしていると、ヴィオはちょっとむくれて・・「本当にキサは分かってないんだから!」えええ・・、すみませんまだ分かってないみたいで。



今日はマルクさんが迎えに来て・・



「それは参りましょう!今日はよろしくお願いいたします!」



「「はい!!」」



私とヴィオの声が重なって・・、ヴィオは私に手を差し出すので、そっと手を重ねると・・嬉しそうに私の手を握る。



「・・キサ、ずっとずっと側にいてね」



ああ・・、この子は本当に可愛いなぁ。

銀色の犬の耳がちょっとピクピクと動いて・・、尻尾がパタパタと揺れている。できれば一緒にいたいけど・・、今はまだ側にいられない事が言えないから・・。手をぎゅっと握り返すと、ヴィオが嬉しそうに笑い返してくれた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ