表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
34/186

幻獣様の成長期。11


ナイフが真っ直ぐにヴィオの首に落とされていくのを、止められない!!!


嫌!!やめて・・!!!!



「「「ヴィオ!!!」」」



そう叫んだ瞬間、ヴィオの体がカッと大きな光に包まれたかと思うと、ナイフで刺そうとした人を思い切りその光が弾く。石の壁に思い切り叩きつかれ、倒れたかと思うと、ジュウ・・と焼けるような音がする。


驚いてその人を見るとみる間に紙切れのように燃えて・・、真っ黒な炭のようなものだけが床に残った・・。

目を見開いて、その光景を見ていると・・



「あ、やっぱりスメラタさんの守護魔法すごいや」



・・と、呑気な声が聞こえて、私は腕の中のヴィオを見るとケロッとした顔で、手首の花の紋様を見ている。ベルナさんも駆け寄って、私とヴィオを見るけど・・



「ヴィオ・・け、怪我は!?」

「ないよ。スメラタさんが守護魔法を掛けてくれたから、多分大丈夫かなって思ったんだ」



ニコッと笑って私を見るヴィオ・・。



「ヴィオ!だったらなんで私を庇うんですか!!もし何かあったら・・」

「だって、キサに何かあったら僕が嫌だもん!!」


「嫌でもダメです!!もう、ヴィオのバカ!!!なんで私を守ろうとするの!!ヴィオに何かあったら・・、わたし・・!!!」



その途端、ボロボロ涙が出てきた。

ヴィオが死んじゃうって思って・・、頭が真っ白になって・・

あの小さい手が、高い声が二度と聞こえなくなったら・・って、思ったら、怖くて、辛くて、悲しくて・・、それでも、無事だったのは嬉しいのに・・、もう涙が溢れて止まらなかった。



「キサ・・、僕はキサが大事で・・」

「私だって大事です!!っていうか、私の方が大事です!!!」



もう大人なのに・・ボロボロだ。

こんなに泣いた事も・・、こんなに怖いと思ったこともない。

わんわん泣く私に、ヴィオは膝立ちして私の顔をぎゅっと抱きしめる。



「ごめんなさい・・、もう無理しないから」

「しちゃダメです〜〜。お願いだから、守られてて下さいよ〜・・」

「それは嫌」

「私も嫌です〜・・」



ぐずぐずになって、子供にすがって泣いてる私・・、相当ダメダメじゃない?でも、もう色々気を張っていたのが、ここに来て一気に緩んでしまったんだと思う・・。


ヴィオが私の頭を優しく撫でて・・



「キサ、大好き。ずっといるからね?大丈夫だよ」



って、言うけど〜〜!!

一緒にいられないんだよ・・。側にいて、私を傷つけてしまうなんて知ったら・・ヴィオが傷つくし、そんなの私だって嫌だ・・。そう思うけど、全部涙で流した・・。




ひとしきり泣いて、ようやく部屋へ戻った時には・・

大きな大人が思い切り泣いた恥ずかしさで、後悔でいっぱいになって・・ベッドでうつ伏せになって悶えた。



・・ベルナさんとか、引いてないかな・・。うわぁああああ恥ずかしいよぉおおお!!!!



ヴィオは「キサ、なんで恥ずかしいの?」「僕、嬉しかったよ」「大好きだから、大丈夫だよ」って言ってくれるけど、私は恥ずかしいです・・。


ヴィオは私の頭を撫でながら・・



「僕、キサが安心して守られる幻獣になるね!!」

「・・それまでは、安心して守られている幻獣として成長して下さい」


「ダメ〜。僕、騎士にも魔法使いにもなりたいし」

「言うこと聞いてくださいよ〜〜〜」



私がちょっと顔を上げて、ヴィオを見ると・・嬉しそうに笑って私を見ている。・・私はこんなに心配したというのに・・。



「あと・・、キサの特別にもなりたいし」



少し照れ臭そうに話すヴィオをジトッと見る。



「もうとっくに特別なのに、これ以上特別になったら私の心臓はもちません。多分壊れちゃいます!!」



もう本当に分かってるの?!

こんなに大事なのに、更に特別になろうなんて・・、もう考えただけで私はぶっ倒れそうなのに!!そう思ってヴィオを見ると、ヴィオの顔が一気に赤くなって・・


「・・特別?」

「特別ですよ!!」


そういって、座り直して・・スカートのポケットから、白い包みのお守りをヴィオに手渡す。



「・・・これ・・」

「・・だって、ヴィオは私の大切な人だし・・」


「大切の意味分かってる?」

「・・ヴィオ、私はそろそろキレますよ?」



これで大切じゃないとか、なんなのだ。

ちょっと涙目でヴィオを見ると、ヴィオはまだ顔が赤い。じっと白いお守りを見て・・、もじもじとして・・。



「・・キサ、もう・・ここが痛いくらい大好き」



そういって、ヴィオは自分の胸を指差す。

その仕草の可愛さたるや。・・・私の心臓は確実に撃ち抜かれ、魂は空高く飛んで行った・・・。離れるの・・嫌だよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ