幻獣様の成長期。9
着替えをしたヴィオと、ニケさんと一緒に食堂へ行くが・・
ヴィオは真ん中に歩いて、絶対ニケさんと私を話をさせまいと睨みながら歩く・・。
・・一体あのお守りがどうしたっていうんだ・・。
ちょっと小さくため息をつきつつ、食堂で新年のお祝いの挨拶をマルクさんがするので、もちろん挨拶する。あ、そうだ・・マルクさんにお守りの事を後で聞かねば・・。
新年だからか、朝食もいつもより豪華だ!
綺麗な色合いの食事に、ヴィオもさっきまでの不機嫌がちょっと紛れたのか、明るい表情で料理を見る。
「これ、美味しいよ!キサ!」
「そうですね、どうやって作るのかな・・」
「今度一緒に作ろうよ!!」
「・・そうですね。でも、またお勉強をするんでしょう?」
「・・ずっとはしない。キサといたいし・・」
・・新年もうちの子が可愛い。
私は、そっと頭を撫でると嬉しそうに笑う。ホッとして頭を撫でつつ、
「じゃあ、また今度一緒に作りましょうね?」
「うん!!約束!!」
パッと顔を輝かせて微笑むヴィオ・・。ああーーー!!可愛いなぁ。
そんな事を思っていると、マルクさんがちょっと申し訳なさそうに見て・・
「あの・・3ヶ月後・・、つまり半年経った時のお祝いの席で、シルヴィオ様に舞を踊ってもらうのですが・・、その練習をこれからして頂きたく・・」
「えー!!!ヤダヤダヤダ!!キサといたいのに!!」
はい、新年一番目のヤダヤダ来ました!
思わず笑って、ヴィオを見て・・
「舞を踊るヴィオ様・・見てみたいんですけど・・」
「え〜〜・・・」
「どんな舞を踊るのか・・、ちょっと興味もありますし・・」
「そうなの・・?」
「練習・・、見に行ってもいいですか?」
「見てくれるならいいよ!!!」
言質頂きました〜〜!
私はにっこり笑って、マルクさんを見ると・・マルクさんは、ホッとした顔で笑って頷き・・
「それでは、今日の午後から早速練習いたしましょう!!」
「・・は〜〜い・・。キサも一緒だからね!」
「もちろん一緒ですよ」
念を押すヴィオに小さく笑うと、少し不本意そうな顔はするものの・・納得はしてくれたらしい。朝食後に、剣の練習についてニケさんと話すヴィオを横目に・・こそっとマルクさんの側へ行く。
「・・あの、マルクさん、新年に渡すお守りって、譲って貰う事はできますか?」
「おお!もちろんですとも!何色にしますか?」
「・・色・・?」
確か・・私は白の包みをニケさんから貰ったな・・と思い出す。
マルクさんは、三本指を立てて・・
「はい!!白は、大切な人・・、青は、家族の人、緑は、友人に渡すのです」
へ〜・・、色ごとに渡す人が違うんだ・・。
・・・んん?
大切な人・・・???
思わず、パッとニケさんを見ると・・、ニケさんは私の視線に気付いて、ニヤッと笑う。
・・え、つ、つまり大切な人??
いやぁ・・、でも幻獣様を守る仲間枠として大切って事かもだし・・。なんか勘違いしちゃいそうだな・・。
「で、どの色にしますかな?」
「そうですね・・」
私が言いかけて、ふとヴィオを見ると・・私をチラチラと見ている・・。これは大分気にしているな・・。私はそっとマルクさんに耳打ちすると、マルクさんは小さく微笑んで、頷き・・「あとでお持ちします」と話してくれた。
気になって仕方ないヴィオは私の側へ来て・・
「ね〜、キサ何色くれるの?」
「秘密です〜」
「僕はキサに白のお守りあげるからね!!」
「・・それ言っちゃったら、楽しみがなくなりません?」
「なくならない!!キサ教えて〜〜!!あとニケにはあげなくていいから!!」
「こらこら、剣の先生に失礼ですよ」
ヤダヤダヤダ〜〜!!!と、ゴネるヴィオに思わず笑ってしまう。
・・身長は伸びたのに、君はまだまだ子供だねぇ・・、思わず笑ってしまうと、「子供扱いして!!」って怒るんだけど、まだ子供ですってば〜〜。




