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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
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幻獣様のお世話係始める。2


クローゼットを見ると、白のワンピースばかりがズラッと入っている。


神殿だから???

とりあえず、一人でもサッと着れるもので良かった‥。

ロングワンピースを着るけど、白って汚さないかな心配になるんだけどな。



「着替えたけど、これで合ってるのかな?」



革で出来てるサンダルもあって、そういえば廊下へ出た時、暑かったな‥と思い出して、革のサンダルに履き替える。ちょっと待って?ジャストサイズなのはなぜ‥?そう考えたら、服もジャストサイズだし。


いや、この際気が付かなかったことにしよう。



クローゼットから出てくると、シルヴィオ様がベッドの上にちょこんと座ってこちらを見ている。か、可愛い!!!!



「‥なんか、ものすごくいい子だね。どうかな?これ?」



ちょっとクルッと回ると、ワンピースの裾がひらっと揺れる。

そうすると、似合ってる!!とばかりに、シルヴィオ様は尻尾を揺らすので、そんな姿を見るだけで癒される‥。


それにしても突然の異世界転移。

本を読んであくまでファンタジーの世界と思っていたことが自分に起ころうとは‥。もう帰れないという事実がまだ実感が湧かない。どこかふわふわした気持ちを落ち着けたくてベッドにころっと横になると、シルヴィオ様はちょっとまた驚いたように目をパチクリする。



「ごめんね、ちょっと疲れちゃったのと、びっくりしたので‥、思わず横になっちゃった‥」



そういうと、理解したのか‥私の側にやってきて、お腹の辺りに丸まってまた眠り出す。‥よく寝るなぁ。でも、お腹の辺りがポカポカして、私はちょっと安心した。


これからどうなるか分からない。

分からないけど、生きていかないといけないし、

ひとまずこの子犬‥じゃない、幻獣様を育てないとだ。



頭をそっと撫でると、気持ちよさそうに手に頭を擦り付けてくる。

可愛いなぁ‥。自分でも結構のんきじゃない?って思うけれど、心細い気持ちがシルヴィオ様がいてくれる事でちょっと和らいでいく‥。幻獣様なんてどうしようって思ったけれど、これならきっと大丈夫‥そう思いつつ夕食に呼ばれるまで、私はシルヴィオ様とぐっすり眠り込んでしまった。



夕方、ちょっと寝ぼけた頭で食事を大きな部屋までマルクさんが案内してくれた。

真っ白な長方形の長いテーブルにずらっと並べられた私のご飯と、それとは別に用意されたシルヴィオ様のご飯‥。ちょっとお粥っぽいそれをシルヴィオ様はふんふんと匂いを嗅ぐと、パクッと用意された物を食べる。



マルクさんはご飯を食べるシルヴィオ様を見て驚いたように声を上げると、嬉しそうに「良かった‥ちゃんと召し上がっておられる」と感激した様子だった。前は食べてなかったのかな?



私はといえばテーブルと椅子のスタイルにホッとしたし、食事も以前いた世界と似通っていたので大変安心した‥。



極端に辛いとか、甘いとかじゃなくて良かった‥。

シルヴィオ様は食べ終わったのか、じっと私を見上げる。



「膝にくる?」



そういうと、コクっと頷くので、そっと持ち上げて膝にのせると、私の顎をぺろっと舐める。マルクさんはそれを見て、ハハっと笑い‥



「こんなにすぐに懐かれる異世界の方は初めてかもしれませんね」

「え?すぐ懐くものじゃないんですか?」


「そうですね、歴代の異世界の方の手記を読みますと、そうでもない方が大半というか‥」



すぐ懐いてくれるわけじゃない幻獣を育てさせとうとしたのか‥。

良かった、シルヴィオ様懐いてくれて。

私は、ありがとう〜〜!!!と、ばかりによく頭を撫でた。



「じゃあ、今回は運がよかったんですね」

「そうですね‥、我々もシルヴィオ様を育てる事を了承して頂いて、本当に感謝しております」



しみじみと言われると、照れてしまう。

ちょっと照れくさいのを誤魔化すように、シルヴィオ様をやたらと撫でてしまうと、嬉しそうに目を細める。うん‥何かあれば、シルヴィオ様を撫でよう。



「あの、ここに一緒にいてシルヴィオ様を育てるのは分かったんですけど、他に何かする事はありますか?」


「他とは‥?」

「お、お散歩とか‥?動いた方がいいですよね?」



マルクさんは、確かに!と、手を打つ。

もしかして呼ぶ事に必死で、何をするとか‥あんまり考えてなかった?



「もし、異世界の方の手記に何か工夫した事なんかがあれば、教えて欲しいんですけど‥」


「おお!一緒にいるだけでなく、何かをして差し上げたいというお気持ち!!感謝いたします!!それでは、すぐに調べます!分かり次第、お知らせいたします!!」



せっかくの一年契約だしね。

できる事をしてあげて、気持ちよく過ごして欲しい。そう思って、また頭を撫でるとシルヴィオ様がじっと私を見つめるて尻尾を振った。‥本当に言葉をよく理解してるね。




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