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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
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幻獣様の成長期。3


とりあえずマルクさんに、ワズ国のスメラタさんが来た事を他の騎士さんに伝えてもらう事にして、私達は応接室のような部屋に、ニケさんに案内されて・・スメラタさんと一緒に移動する。



スラッと背の高いスメラタさんは、歩いている姿がとても綺麗だ・・。

黒髪も親近感が湧くなぁ〜なんて思っているけど、

私の隣を歩くヴィオは、愛用の木刀を腰に携えて、警戒心マックスである。



応接室について、それぞれソファーに座るけど・・、ヴィオは当然私の隣に座る。


向かい合うように座ったスメラタさんを、未だに牙を剥き出しにしたようにじっと見据えている・・。あの・・お友達、お友達ですからね?私は、このままでは会話が始まらない気がして、



「え、えっと・・、初めまして。キサと申します」

「スメラタだ。話は聞いていると思うが、今回・・他の用事もあったので、早めにこちらへやって来た」


「そ、そうだったんですね・・、ヴィオ様、ご挨拶を」



私に促されて、渋々ヴィオはスメラタさんを見て・・



「シルヴィオです・・」

「知ってる。もう二度もロズに狙われたようだな」



話の内容に思わず目を見開く。

そんな事まで知ってるの?!驚いて、スメラタさんを見ると・・、ニヤッと笑う。



「・・新しく生まれた幻獣に、他の幻獣も興味津々でな・・。皆にどんな子か見て来いとせっつかれた」


「ほ、他にもいるんですか?」

「ああ、獅子と一角獣、あと不死鳥だな」



そ、そんなにいるのか・・!

思わず目を丸くする。ヴィオは知っていたのか私の手を握って、じっとスメラタさんを見ているだけだ。


「そ、それで・・・どのようなご用件で?」


ごくっと唾を飲み込み・・、スメラタさんをじっと私も見た。

スメラタさんは、微笑を浮かべて・・



「うん・・まぁ、遊びに来た」



「「「遊びに・・・」」」



私とヴィオの声が重なる。

思わぬ回答に、ニケさんをヴィオと一緒に見ると、ぶっと吹き出した。



「な〜、そんな怖くないだろ?優しいお兄ちゃんが遊びに来たって思っておけばいいと思うぜ?」


「・・マルクさんは、先ほどぶっ倒れそうでしたが・・」

「今頃、倒れてるかもな」



・・確かに。

いきなり来た事に、驚いて意識を失わないといいんだけど・・。

スメラタさんは、ヴィオをじいっと見て・・



「ロズとダズの国がお前を狙っていると聞いてな・・、他の幻獣達が心配していた。せっかくできた弟のような存在だし、お前が大きくなればいずれ、この世界の月を管理する者となる。いわば幻獣にとっても大事な存在だ」


「パルマ国の幻獣として、仕事をして欲しい・・、ってこと?」



ヴィオがスメラタさんにそういうと、静かに頷く。


「ロズも、ダズも、まだ国としての贖罪を果たしていない・・。その国にお前を連れさられる訳にも、害される訳にもいかないからな」


そ、そんな思惑が幻獣達の間でされているのか・・。

私が呆然として聞いていると、スメラタさんはすくっと立ち上がる。



「・・これは他の幻獣達から預かってきたお土産だ」



「「「お土産???」」」



スメラタさんが、手から淡い光をローテーブルの上に発すると、山盛りのオモチャや、お菓子、絵本、洋服がドサッと出てくる。えええ、こ、これ・・全部お土産??!



びっくりして、私とヴィオが目を丸くしていると、後ろでニケさんが爆笑している。スメラタさんは、オモチャを一つ取って、ヴィオに渡す。



「子供の時間は、案外短い。剣や魔法も頑張っているようだが、沢山遊んでおくのも大事だぞ」



お、お兄ちゃん!!!

私が感動していると、ヴィオも嬉しかったらしい。

ちょっと俯いて・・照れくさそうに・・


「ありがと・・」


って、お礼を言うので、見ている私の心が鷲掴みされそうだった。

可愛い〜〜〜!!うちの子、可愛い〜〜!!



ちなみに、ニケさんの予想通り・・、マルクさんは倒れたらしい。あとでお茶でも淹れてあげよう。




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