幻獣様の成長期。1
結局、一緒に着替えてから「雪合戦」を教えたら、雪玉を上手に作って的確に投げつけられた私・・。
雪まみれになっている所に、ニケさんが来てくれて・・
「一緒に応戦して下さい!!」って頼んだら、ヴィオが僕とだけ遊んで!と怒るし・・、まぁ、結局ニケさん対私とヴィオで戦って、雪まみれになったんだけどね・・。
食堂へニケさんと一緒に私達は雪まみれになりながら入っていく。
「ふわぁ〜〜、部屋が暖かい!!」
「本当だねぇ、お話で知ってたけど、雪って冷たいんだねぇ」
ニコニコ笑って、私を見るヴィオ。
ちょっとまだ頭に雪がついているので、払ってあげると嬉しそうに微笑む。
うんうん、君は今日も可愛いね。
ふと、ニケさんの方を見ると、ニケさんも雪まみれだ・・。
「ニケさん、頭についてます」
「ん?どの辺りですか?」
「ここ・・、あ、ええと、こっちです」
私がちょっと背伸びして、頭についている雪を手で払うと・・
「キサ!!ダメ!!ニケに触らないで!」
「え、ええ??」
「キサは僕のだから、触っちゃダメ!」
「・・雪を払っただけですよ?」
「そーだぞー、シルヴィオ様ー」
あえてからかうように言うニケさんを睨みつけるヴィオ・・。落ち着いてくれ、私は君のものなんだろう?
「・・ヴィオ様のものですから、ご安心下さい」
そういってヴィオの頭をちょっと撫でると、大変不本意な顔をするけど・・頭を撫でるのは許してくれた・・。うんうん、機嫌を直してね〜。
と、慌ててマルクさんが食堂へ駆け込んでくる。
「た、大変です!!」
「マルクさん、どうしたんですか?」
私とニケさんに緊張が走る。
何かあったの?!
マルクさんは、ちょっと走ってきたので息を整えると・・
「新年のお祝いに、ワズ国の幻獣様がいらっしゃる事になりました!!」
・・うん?
でも何が大変か・・、ちょっと分からない。
私とヴィオは、同時にニケさんを見上げると、ニケさんはちょっと笑って・・、
「幻獣様ってのは、幻獣を育てている時は来ないんだ。だから、何か目的があるのか?って、マルクさんは心配しているんだと思うぞ?」
なるほど〜・・。
私とヴィオは同時に頷いて、マルクさんを見ると・・ちゃっかりテーブルにあった水を飲んで一息ついたようだ・・。
「そう・・、ニケさんの言う通りなんです・・。ワズ国といえば、ドラゴンが守護する国・・国交を結んでいるとはいえ、幻獣様がいらっしゃるなど久しくなかったので・・」
ドラゴン!!
おお〜〜、ファンタジーだなぁ!
私が感動していると、ヴィオは私の腰にぎゅっと抱きつく。ん?怖いのかな??
「・・なんで、ここに来るの?断って!」
「い、いえ・・外交上それは出来なくてですね・・・」
「やだー!!ヤダヤダヤダ!キサに何かあったらどうするの?!」
そこかーい!!マルクさんは、ヴィオのヤダヤダ攻撃にオロオロしているし、ニケさんは面白そうに笑ってる・・。私はため息をついて・・、ヴィオの頭を撫でる。
「・・ヴィオ様、何も私が襲われるとか、怪我を負わされると限った訳じゃないんですから、ちょっと落ち着きましょうね。同じ幻獣同士、仲良くした方がいいと思いますよ?」
「でも・・」
「初めて来てくれるお友達じゃないですか?」
・・・とか言いつつ、年齢を知らないけど・・。
思わずニケさんを見ると、プッと吹き出す。
「大人だよ。確か・・340歳かな?」
「「「340歳!!!??」」」
私とヴィオの声が重なった。
つまり、相当大きなお友達が来るって事か・・。しかも、まだ子犬同然のヴィオに会いに来る・・。ううーん・・、何故だろう。私はちょっと心配になって、ヴィオを抱きしめると、ヴィオは嬉しそうに抱きしめ返す。ええとね、そうじゃないんだ。心配しているんだぞ???




