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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
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幻獣様のお世話係始める。1


幻獣様は、シルヴィオ様というらしい・・。


銀色の子犬・・と思ったけど、銀狼という狼の幻獣だそうだ。

私はあれから、速攻でおじいさんに契約書を差し出され、そういえば文字も読めるし、言葉も通じる事に驚きつつ、サインをする。



「キサ・タテシナ様‥と、言うのですね」

「はい、名前がキサです」



白い長い髭のおじいさんは、マルクさんといい、国の大神殿を治める大神官様だそうだ。この建物は、その大神殿とやらで‥私は、その一番奥の間から召喚されたらしい。


窓の外を見ると、さっきまで私の世界は夜だったのに、今はお日様が燦々と降り注いでいて、外国に突然来た気分だ‥。時差ボケ起こさないといいな。



「キサ様に、もうシルヴィオ様は懐かれているんですね‥」



マルクさんの声にはっとして顔をあげる。

そう‥、膝の上に幻獣シルヴィオ様がもう気持ち良さそうに寝ているのだ。


さっきの奥の間で、一度目を開けたら、

籠の中から飛び出してきたかと思ったら、膝の上で丸まって寝始めて、周囲にいた髭のおじさん達がまた歓喜に沸いたわけで‥。


「そうですね、まずは懐いて貰えて良かったです‥」


優しくシルヴィオ様を撫でると、気持ち良さそうに目を細めて笑った。

うう、可愛い!!!生き物は、大概なんでも好きなので‥、この毛ざわりを一年堪能できるなら悪くないな。


マルクさんは、満足そうに頷くと‥



「それではシルヴィオ様と過ごすお部屋にご案内致しましょう」

「へ?一緒なんですか?」


「はい、異世界の力を朝も昼も取り込む事で、成長に繋がるのです。もちろんお食事も頂きますが‥、魔力やこの世界と通じる力はキサ様の力無くしてはできません」



聞けば聞くほど、重大なお役目だな‥。

腕に抱いている、小さな銀色の子犬はうっとりした顔で気ままに寝ているだけだけど。



そうして、マルクさんの後ろをついて行くと、神殿の中庭に通じる廊下に出る。


石の廊下から、前面に真っ青な海が見えて‥

こんな所に神殿があったのか!と、驚いた。私がその光景に見とれていると、マルクさんがニコッと微笑んで‥



「ここは、断崖絶壁の上に建てられた神殿でして、海と陸に愛された国‥パルマと呼ばれているのです」


「へぇ、素敵ですね‥」

「そうでしょう、そうでしょう!」



マルクさんはちょっと得意げになって微笑むから、なんか可愛い‥。

いきなりの展開に驚きすぎて、気持ちが落ち着かないけれど、優しそうな人がそばにいてくれるし‥、そこは良かった。突然売られるとかそんな物騒な展開ではなさそうだし、とにかく今はここで働くしかない!場所や習慣を色々覚えておかないと。



案内された部屋は、白い石の壁で作られた部屋で、大きな窓から海が見える!テラスもある!!うわ、最高だ!!オーシャンビューじゃないか!!


白い大きなベッドは天蓋付きだし。

バス、トイレも完備。


え、私もしかして、リゾート地に来た‥???


着替えの入ったクローゼットもある。

えええ、この至れり尽くせりな環境から一年後に去るけど、私違う意味でやっていけるのかな。



い、いや‥、その前にこの一年を乗り越えなければいけないのだ。気を引き締めろ私。



驚きつつも、嬉しそうな私にマルクさんもホッとした様子で‥、


「ひとまずその格好では疲れるでしょう。まずお着替えを‥」

「あ、そうですね‥」


そういえば仕事から帰る途中だたったからスーツでした。

マルクさんは、夕食の時間になったら呼びに参ります‥と言って、部屋を退室して、私とシルヴィオ様だけシンとした部屋に二人きりになった。



私はようやく一息ついたけど‥。さて着替えようかな、でもまだ腕の中のシルヴィオ様は寝ているしなぁ‥と思っていると、突然ぱちっと目を開けるとベッドに飛び乗る。



「‥もしかして、着替えたいってわかったの?」



そうたずねると、コクっと頷く。

こ、言葉が分かるの!!??

それにも驚いたけど、ちゃんと気持ちがわかるなんてすごい!



思わず「ありがとう〜〜!!賢いね〜〜!!」と頭を撫でくり回すと、ちょっと驚いたように目をパチクリするので、可愛くて笑ってしまった‥。



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