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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様はいつでも格好良くいたい。9


まさかのターシェさんも交えての捜索になっちゃったけれど、大丈夫なのだろうか‥。


駆けつけたマルクさんなんて真っ青なので、私はいざとなったら受け止められる様にスタンバイしてたら、ニケさんが笑って交代してくれた。うう、いつもすみません。



中庭でヴィオはマルクさんが持って来てくれた地図を広げて、ターシェさんとじっと見つめ、


「誘拐されたと言っていましたが、距離はそんなに取れないと思うので、恐らくこの辺りだと思います」

「飛んでいけば気配でわかるし、この辺一帯を飛んで行くか」


二人がそう話すと、ベルナさんとニケさんが頷いてすぐにその周辺にいる騎士団に連絡すると話をする。なんだかとんでもない事になったなぁとドキドキしていると、ターシェさんが私を見て、



「じゃあキサも行こっか!」

「え?あ、はい??」

「ええ?!キサは危ないからダメです!!」

「え〜、でも何かあったらキサがいると助かるじゃん。不測の事態に備えるのは大事でしょ?」



もっともな事をターシェさんに言われて、うっと言葉を詰まらせるヴィオ。

お姉ちゃんには何も言い返せないよね〜。

私はちょっと笑いつつ、ヴィオの背中をポンと叩いて、


「ヴィオがいてくれるなら、私は大丈夫ですよ」


そう言うと、ヴィオは一瞬嬉しそうな顔をして目尻を思い切り下げ、ハッとして顔をキリッとさせ、「もちろん!キサを守るよ!」と言ってくれた。うんうん、心強い。


「それじゃあすぐに行くよ!」

「は、はい。キサじゃあ手を繋いで‥」


テキパキと指示するターシェさん。

推しが絡んでいると全然違うなぁなんて思いつつ、ヴィオと手を繋ぐとあっという間に空へ飛び上がる。


「わ、わわ‥」

「大丈夫だからね!キサを絶対守るから!!」


ふわふわと浮く体と、下を見れば結構な高さに驚いてしまう私はヴィオの手を必要以上にギュッと握ってしまう。いや、何度か空は飛んだけれど必死過ぎて、すっかり忘れてた。一方のヴィオは空を飛ぶのも慣れたもので、ニコニコ笑いながら建物の上をぐんぐんと飛んでいく。


‥たくましく育ったなぁ。

なんて感慨深く思っていると、ゾワッとした感覚が背中を抜ける。



「今‥!」

「うん、あそこにいるね」



ターシェさんと顔を見合わせたヴィオが見た下にある建物は、劇場から少し離れた小さな建物が立ち並ぶ場所だった。その一番端っこにある小さな白い箱の様な建物へヴィオが降りて行こうとすると、ターシェさんがヴィオの手をガシッと掴んだ。


「ちょっと待って!!」

「え?どうしたのターシェさん?」


「か、髪をちょっと整えておくから」

「‥‥‥え?」


「ねぇ、キサ!僕可愛い?」

「‥今日も可愛いですよ〜」


驚いた顔でポカーンとしているヴィオと、必死に髪をまとめているターシェさん。

そうだよね、推しに会うから身なりは整えておきたいよね。‥ただ、今はそれどころじゃないから早く行った方がいいと思うんだけど。


「よし!!準備できた!行くよ!!」

「は、はい!」


入念に髪を整えたターシェさんが建物に向かって一直線に向かって行くのを見て、ヴィオも慌てて追いかけていく。


そうして、人影もない静かな場所へ降りたち目の前の白い小さな建物の中へズカズカとターシェさんが入って行こうとして、慌ててヴィオが止めた。


「ちょ、ちょっと!ダメですよ!まず僕が行きます!!」

「最高に守りたい人間がいるんだから、僕がいく!!」

「そ、そこまで?!でもそれでも待ってください!!」

「嫌だ!!!大事な人なんだ!!!」

「だ、大事??!」


‥推しですもんね。

欠かさず公演に通ってますもんね。


とはいえ、いくら小声で話しているとはいえ、中にいる誘拐犯に聞かれてしまうのではないかと思うんだけど‥。と、いつの間にか私の後ろにベルナさんが転移をして来たのか、なんとも言えない顔で立っていた‥。



えーと、ちょっと推しを前にターシェさんが準備したいらしい、です。

とは言えず、変な顔で笑いかけてしまった‥。




推しを前に平静でいられる自信がないです。

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