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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様はいつでも格好良くいたい。5


ターシェさんと観た演劇はそれはそれはもう良かった!!!!

生演奏による音楽をバックに、ターシェさんの推し俳優の黒騎士役の人がそれはもう格好良くて‥!顔も格好いいし、声も格好いいし、演技もすごく素敵で、私とターシェさんは完全に目がハートになっていたと思う。



涙あり、笑いあり、どこか切なさもあって、演劇が終わって演者さん達が舞台に並んでお辞儀をした時はもうターシェさんとスタンディングオーベーションである。いや、皆そんな感じだったけど、もうきゃっきゃとはしゃいでターシェさんと拍手してしまった。


「すっっごく良かったです!皆、素敵でしたね」

「そうでしょ?うちの劇団すごいでしょ?」

「はい!素晴らしいです。パルマにも演劇団があるとさっきベルナさんが教えてくれたので、今度はそちらをヴィオとも観ようと思います」


すっかり忙しくて趣味に勤しむ時間もなかったので、ふわふわとどこか夢心地の私にターシェさんが嬉しそうに笑ってくれた。


「キサ、この世界でも楽しいことをいっぱい見つけて楽しんでね!」

「はい!今日は誘って下さってありがとうございます」

「えへへ〜〜〜、また観に行こうね!」


自分のことのように喜んで笑ってくれるターシェさんに、私までニコニコにしてしまう。と、ベルナさんが時計を見て、



「キサ様、そろそろお戻りの時間です」

「はい。じゃあターシェさんは‥」

「あ、僕はもう一回観ていくから大丈夫!」

「え?もう一回??!」

「キサ、今日はあと2回公演があるんだ‥。僕、今日は全部観てからじゃないと帰れないよ!あ、そんな訳でロンベルク頼むね〜。隣に座って観なよ!パンフレットいる?」



ロンベルクさんが丁重にお断りしていたけれど、今日終わるまでって‥夜までやるけど??思わずロンベルクさんをまじまじと見ると小さく笑って、


「こういうのに慣れていた方がいいでしょう?丁度良い機会なので頑張ります」

「え〜、ロンベルクだって面白そうに観てたじゃーん」


プッと頬を膨らましつつターシェさんが話すと、ベルナさんが「あと一回で終わりになさい!」と注意していた。流石一緒に過ごしていただけある‥。



ターシェさんやロンベルクさん、警護してくれた騎士さん達にお礼を言って、私とベルナさんは先に転移で神殿へ帰らせてもらった。なにせヴィオがきっと首を長くして待っているだろうしね。



中庭にあっという間に帰ると、ヴィオとニケさんが立っていた。



「ヴィオ、ただい‥」

「キサ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」



ガバッと抱きつかれ、目を白黒させた。

大型犬に突進されて、ベロベロに顔を舐め回される感覚を夫に覚えるのは間違っているのだろうか‥。いや、でもそれくらいの感覚だ。


「キサ、楽しかった?ね、僕ちゃんとお留守番できたでしょ?」

「は、はい、楽しかったですけど、ちょっと一旦離して貰えると‥」

「ヤダヤダヤダ!!!ちゃんと我慢したのに!!!」


うーん、行く前は必死に我慢してたけど、帰ってきたら子供返りのようになっている‥。私はそっとヴィオの背中を撫でると、尻尾が後ろでブンブン振っているのに気付いた。あとニケさんが今にも笑い出しそうなので、一応目線で「ちょっと待ってて欲しい」と合図もしておいた。



「‥お留守番ありがとうございました。演劇、すごく楽しかったので今度守り月になったら一緒に観に行きましょうね」

「うん」

「あとお土産、少しですけど買ってきたのでお昼を食べ終わったら見せますね」

「うん!」



嬉しそうにニコニコ笑うヴィオを見ると、さっきまで楽しかった気持ちとはまた別の楽しい気持ちになるから不思議だ。サラサラの銀髪を撫でると、ヴィオは目尻を下げ、


「キサ、大好き!離れると寂しいけど、その分会えるとすごく嬉しい!」


そう言ってグリグリと私の首に顔をすり寄せると、後ろにいたニケさんが呆れたように「毎日飽きるほど一緒にいるだろうが‥」と言うと、ベルナさんがニコニコしたままニケさんの頭を叩いた‥。


まぁ、概ねその通りなんですが、一時は別れるかもしれなかった分余計甘えたいのかも?なんて思っていると、ヴィオがワクワクした顔で私を見て、



「そういえば演劇面白かったんでしょ?どんな内容だったの?」

「ええと、皆に恐れられている黒騎士さんがお姫様を守るお話だったんですけど、その黒騎士さんがものすごく格好良くて‥」

「格好いい‥」

「はい!クールで、あまり自分の感情を前面に出さないんですけど‥、そこが素敵というか‥」

「クール‥」



よく考えたらヴィオとは真逆なタイプだなぁ‥。

ヴィオを見上げると、ものすごく真面目な顔をして、そっと手を差し出し、



「‥とりあえず、一緒にお昼を食べに行こうか」

「あ、はい」



もっとベタベタくっついてくるかと思ったけれど、ヴィオはその後大人しく食堂まで一緒に歩いていってくれて、ちょっとホッとしたのは内緒だ。



演劇っていいですよね‥。

しばらく観に行けてないけど、行きたい!!!

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