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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様はいつでも格好良くいたい。4


なんと演劇を観に行くと話をしたらすぐヴィオが心配して、ロンベルクさんに連絡をして急遽警護する事になったそうだ。


ベルナさんは知っていたらしいけれど、私がそれを知ったら恐縮して行かないと言い出しそうだから黙っていたらしい。その通りだけど、そこはちょっと言って欲しかったかも‥。


私はもう恐縮しきりで、ロンベルクさんにお礼を何度も言った。

だっていくらターシェさんの推し活の為とはいえ、騎士団長さんを派遣って‥ちょっとやり過ぎじゃない??いや、でもターシェさんはトーラの幻獣だし、国賓だから当然といえば当然の措置なんだろうけど‥。



日本人の申し訳ない〜〜!!という感情で頭の中がグルグルしていると、劇場の支配人さんが入り口を入ってすぐにやってきて、これまた丁寧に挨拶をされて‥。異世界の乙女は、高貴な身分だからあんまりペコペコお辞儀をしちゃいけないって言われていたけど、私はもう何度でも頭を下げたかった。



二階にある一番舞台がよく見えると説明された豪華な装飾が施された広い部屋へ通されて、私は今度は心臓が飛び上がりそうだった‥。



「凄すぎる‥」

「何言ってるの。いつもキサやシルヴィオのお陰で国が守られてるんだよ?」

「いえ、それでもこんな豪華な対応に気持ちが追いつきません‥」



こっちへ来るまで、私はあまり多くないお給与をやり繰りして日々仕事をする生活だったから、急な豪華絢爛に目を回してしまいそうなんだよう‥。そんな私の様子にベルナさんが演劇を見る為の椅子をそっと引いて、座るようにと勧めてくれた。


「キサ様は、以前は仕事をされていたそうですね」

「はい。自分で言うのもなんですけど、慎ましい生活をしていたので、ちょっとこの環境は落ち着かないというか‥」

「ふふ、わかります。私もそわそわします」


ベルナさんがそう言って小さく笑うと、側で警護してくれているロンベルク団長さんも頷いてくれた。よ、良かった‥。私だけじゃなかった。ホッと息を吐くと、ターシェさんは私をじっと見て、


「まぁ徐々に慣れていけばいいよ。これからこういう機会増えるだろうしね」

「え!?そうなんですか?」

「魔の者があちこち出ててそれどころじゃなかったけど、大分落ち着いたし、これから色んな国と関わる機会も増えるでしょ。神殿関係とか、王族関係とか‥」


神殿はともかく、王族‥。

そういえばベルナさんもその内、うちの国の王族とも会うって言ってた‥。どこか意識が遠のきそうになっていると、そばにいたロンベルクさんが可笑しそうに笑って、



「私どもも一緒に警護につく事になるので、今の内に慣れて下さいね」

「うう‥、よろしくお願いします‥」



今日は練習と思って下さいって笑顔で言ってくれたけれど、そうか‥こういう機会が増えるのか。それなら私も頑張って慣れないとだなぁ‥なんて思っていると、ターシェさんがどこから取り出したのか、オペラグラスを取り出して渡してくれた。


「あのね!今日のオススメはストーリーもなんだけど、黒騎士って役柄の人なんだ。その人の演技がすごく良くてね、ぜひよく見てね!あ、ハンカチも渡しておくね。それとトイレに行きたい場合は、前半で一回休憩挟むからその時ね。あと飲み物は今の内に頼んでおく?」

「すごい‥、ターシェさんがいつもよりもっとすごい」



まだ始まってないのにこの興奮っぷり。

しかもその口ぶりから察するに、黒騎士の人がターシェさんの推しなんだね?必死にターシェさんの推しについて頷いていると、ふっと劇場の明かりが落とされた。


「始まるから、とにかくまずは楽しんでね!」


ニッコニコのターシェさんに頷いて、ふかふかの椅子に座り直して大きな舞台に目を向けると、どこからが音楽が流れてきて、私は久々の演劇に知らずワクワクしてきた。



そういえば、こんな風に演劇を見るのも久しぶりだ。

ヴィオとの時間も楽しいけれど、これはターシェさんの言う通り、楽しんでしまおう。そう思って、目の前で始まった演劇をターシェさんと目一杯楽しんだのであった。




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